2012 Fiscal Year Research-status Report
水中気泡生成技術を用いた3次元ディスプレイに関する研究
Project/Area Number |
24650056
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50418498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 仁志 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90515660)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 3次元ディスプレイ / レーザ / 気泡 |
Research Abstract |
輻輳角/両眼視差/焦点調節/運動視差の4つを矛盾なく提示でき,全方位から観察でき,専用メガネが不要な,気泡投影型3次元ディスプレイを実現する要素技術に取り組んでいる.特に,水中にレーザで多数の気泡群を任意の形状に生成する技術の実現に向けて,気泡生成条件を検証した. 本年度は,圧力を制御できる小型の水槽を製作し,YAGレーザ装置を用いて,様々な条件で気泡を生成する実験を行った.圧力容器は石英ガラス製で,容器内は対象液体で満たされており,容器上部に空いた口はコルクにより,密閉状態が保たれている.コルクにはそれぞれ圧力計,圧力調整用の弁が取り付けられており,弁を開け,容器内部の液体を抜くことにより減圧し任意の圧力で弁を閉じることにより圧力調整が可能になっている.レーザ出射ユニットの位置を制御する機構を用いて,水中の任意の位置に気泡を生成した.実験では水および水-エタノール50%水溶液の2種類の液体を用いて実験を行い,照射液体の違いが気泡生成に与える影響について検討した.また,気泡の生成を確認するため,圧力容器側面に高速度カメラのカメラユニットを設置し,レーザ照射中の様子を記録し,気泡生成の有無,気泡持続時間,気泡径を測定した. 実験結果から,適切な照射条件を選択することにより, 短い時間で消滅し,画像投影の邪魔にならず,スクリーンとして適切な大きさの気泡を任意に生成することが可能であると確認できた.また,精製水よりエタノール水溶液の方が小さなエネルギで気泡生成をすることに適していることが分かった.さらに,照射パルス幅が短いほど最小エネルギが小さくなり,気泡生成率が向上することが確認された.照射パルス幅の短いレーザを用いることによりさらに低いエネルギで気泡生成が可能となるだろう.照射液体の圧力を下げることにより,より低いエネルギで気泡を生成することが可能であると確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した平成24年度の研究計画は全て予定通り達成できた.具体的には圧力制御用の耐圧水槽の作成と,圧力およびパルス幅を変化させる気泡生成条件の確認ができた.気泡の発生位置を制御する出射ユニット位置制御機構も稼働している. また,実験結果はおおむね予想通りの結果となった.具体的には,圧力を下げる事と,パルス幅を短くすることで,気泡生成に必要なエネルギーが低下することが確認できた. 以上の事から,本研究は,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も,申請書の研究計画通りに推進する予定である. 具体的には,引き続き,より低いエネルギーで可視となる気泡生成条件を検証しつつ,多数の気泡を同時に生成するためのレーザ装置や,立体映像を空中に提示するための光学系の設計に取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね申請書に記載した予定の通り使用する計画である.ただし,平成25年度に予定していた国際会議での成果発表を,平成24年度に前倒しで実現した(査読付き国際会議に採択された)ため,平成24年度は旅費が予定より増加した.平成25年度も,成果発表が可能であれば,積極的に国際会議等への参加・発表を目指す.
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