2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650057
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
小柳 健一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30335377)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 先端機能デバイス / 知能機械 / 力覚提示 / 機能性材料 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに,機能性材料の一つであるERゲルを用いた電場で表面の滑り抵抗を制御して力の伝達を行うデバイスを開発してきたが,シート状であるERゲルを貼りつける面は平面や単純な円筒側面であった.人体のような複雑な曲面に適用するには,より単純な形状のものから順に適応させて,最適な貼り付け方を見つける必要があった.なお,ERゲルは,電場により表面の滑り抵抗を制御できる新規な材料である. そこで本年度は,肘など単関節を対象にした,サポーター型ERゲル力覚提示装置を開発した.具体的には次のように行った. (1) 単関節リンク機構からなる単純リンク型ERゲル力覚提示装置を開発し,ERゲルの効果的な形状や貼り方を検討した.その結果,ERゲルはなるべく単純な形状の面に貼った方が大きな効果が出ること,ERゲルは小さなものに分割して並べて貼り付けることも可能だが,ゲルシート間の間隙を絶縁材で埋める必要があることが分かった. (2) 複雑曲面に適用可能な柔軟性と強度を持ったERゲルを製作した. (3) 筋肉トレーニング用ギブスのような構成をした衣服の一部にERゲルシートを内蔵して,肘や肩の曲げに抵抗を付与することで力覚を提示する,ERゲルVRスーツの予備試験装置を開発した.実際に装着して,関節角度に応じて力覚を発現させることは可能であったが,発生力が十分大きくはないため,力覚提示としては不十分であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全体の目標は,全身スーツの関節各部に力覚を提示することで,バーチャルリアリティにおけるVR物体の形状やその反力を現すVRスーツを開発することであり,軽量かつシンプルな構造で,着脱が容易なものを目指している.力の発生には機能性材料の一つであるERゲルを用いる.モータを用いた機構のように自ら暴走することがないため,安全性も高い.アミューズメント施設の他,リハビリテーション,技能伝承,設計支援,VFX撮影補助など,様々な使用対象および使用施設で適用できるものを目指している. 本年度はローラースケートのサポーターのようなものにERゲルを内蔵した,VRスーツの一部を模擬した試作品を開発する予定であった.しかし,ERゲルの貼付条件から,VRスーツの一部に直接ERゲルを内蔵した構成とした方が良いことがわかり,開発した.その部分は予定より進んでいる.しかし,それでも十分な発生力を得られていないため,全体としてはやや遅れていると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
ERゲルの発生せん断応力の大きさ自体は,過去に研究した平面平板上の特性から,今回の用途に十分であることは分かっている.そのため,課題はERゲルのせん断応力を十分に発揮できるよう,電極の構造や固定方式を調整することである. VRスーツの構造としては,肩や肘に対する試作は行えているので,その他の関節部分に力覚を提示する機構を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度と同様に,VRスーツの製作に関わる消耗品費に大半を使用する.国内学会や,本年度後半にある国際会議で研究成果を発表するため,旅費等を使用する.
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