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2012 Fiscal Year Research-status Report

他者の存在を知覚するメカニズムの解明ー聴覚と触覚のインタラクションー

Research Project

Project/Area Number 24650059
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

小林 まおり  明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90451632)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 寺本 渉  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30509089)
大谷 真  信州大学, 工学部, 准教授 (40433198)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsバーチャルリアリティ / 聴覚ディスプレイ / 聴触覚統合 / 実在感 / 気配
Research Abstract

本研究の目的は,人間が他者の存在を知覚するメカニズムの一端を解明し,他者の実在感をも伝えるコミュニケーション技術を実現するための基礎的知見の得ることである。特に「気配」の知覚に焦点を当て,聴・触覚情報統合の枠組みから検討する。
本年度では,まず聴覚情報と触覚情報を独立に操作できるように,遮音性の高いヘッドフォン型の聴覚ディスプレイを用いて実験装置を構築した。その際,聴覚刺激の外在化が聴触覚統合を促進すると考え,音源の方向や遠近をはっきり弁別できるように,聴取者の身体運動に応じて音情報を変化させて呈示する高精細の聴覚ディスプレイを構築した。また被験者の身体に局所的ではなく,比較的広範囲に触覚刺激を呈示するためにウーハーを用い,低周波の振動刺激を触覚刺激として呈示した。
次に構築した実験装置を用い,仮想聴空間で触覚情報の提示が他者の「気配」に及ぼす影響について探索的検討を行った。実験では「気配」の1つの指標として自分から音源までの知覚された距離を用い,距離知覚が触覚刺激によって変容するか検討した。その際,音刺激の種類,聴覚刺激と触覚刺激の位置関係,および聴取者から聴覚刺激までの仮想的距離を操作して実験を行った。その結果,触覚刺激の有無によって仮想聴空間内の聴覚刺激までの距離が変化することがわかった。しかも,この効果はノイズなどの人工的な音については見られないが,音声や拍手など有機的な音に対してのみ見られた。また,触覚刺激が聴覚刺激と同側に呈示された場合と反側に呈示された場合で,効果の大きさが異なることがわかった。これらのことから,有機的な音刺激に関しては,聴触覚間で相互作用が生じ,聴覚刺激の距離知覚に影響を及ぼす可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初,2012年度では実験装置の構築および基礎的な心理実験の着手を予定していた。予定通り,実験装置の構築が完了し心理実験に着手したことで,触覚刺激の呈示は聴覚刺激の知覚に影響を及ぼすことがわかった。実際に実験を行った結果,聴覚刺激への影響は確認できるものの,ウーハーでの触覚刺激の呈示は問題点がある可能性が指摘された。ただし,計画当初からウーハーでの刺激提示は懸念事項であったため,他の触覚刺激を候補として計画をたてており,2013年度では触覚刺激を変更し実験を行う予定である。以上のことから本研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

2012年度に引き続き,心理実験を行い,触聴覚間の相互作用について検討する予定である。まず,触覚刺激の種類が相互作用に及ぼす影響について検討する。今まで使用していた触覚刺激がウーハーによって呈示される低周波数の振動刺激であった。ウーハーによる刺激呈示は音も伴うため,触覚刺激の存在が聴覚刺激をマスクしていた可能性もある。そのため,風圧による触覚刺激など呈示に伴う音が比較的小さい触覚刺激に変更した場合にも,同様の効果が認められるかを確認する予定である。
次に,触覚刺激と聴覚刺激の統合が音の距離知覚に及ぼす影響について検討する。昨年度の研究によって触覚刺激と聴覚刺激の空間的な位置関係が相互作用に影響することが示された。従来の研究では,異種モダリティ情報の統合には(1)モダリティ間で刺激が呈示される位置の一致や(2)呈示タイミングの同時性が重要であることが示されている。そこで,本年度では触覚刺激と聴覚刺激の同時性を操作し,同時性が相互作用に及ぼす影響について調べる。空間的一致の効果と併せて同時性の効果を検証することで,聴触覚情報の統合が「気配」知覚に及ぼす影響についてまとめる。
本研究で行った心理実験では「気配」の指標として音源の距離判断を用いた。知覚された距離の変化が実在感を直接的に反映するとは限らないため,今年度では実在感について主観的判断による測定法を用いる。直接的な判断は認知バイアスが含まれる可能性があるため,直接的測定法と併せて生理指標を用いた客観的指標で検討する。仮想音源であるにもかかわらず実在感が感じられればなんらかの驚愕反応が生じると仮定し,皮膚電気コンダクタンスや脈波などを用い,自律神経系の活動を測定する予定である。
これら心理実験や生理実験で得られたデータを統合的に解釈することで聴触覚統合の観点から気配知覚のメカニズムの解明を目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

2013年度では,触覚刺激の種類を変更し検討を行うため,風圧を操作できる新たな触覚デバイスを作成する為の費用を計上した。加えて引き続き心理実験・生理実験を行うために実験参加者への謝金を計上した。また研究を推進するために研究分担社が一同に会して打ち合わせを行うための旅費,および成果発表のための論文投稿費用ならびに英文校閲費用も計上した。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Perception of proximal sound sources in virtual auditory space by distance-variable head-related transfer functions2012

    • Author(s)
      Otani, M., Hirata, F.,Itoh, K., Hashimoto, K., & Kayama, M.
    • Journal Title

      Acoustical Science and Technology

      Volume: 33 Pages: 332-334

    • DOI

      10.1250/ast.33.332

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 頭部運動追従型トランスオーラルシステムにおけるクロストークキャンセラの数値的検討2013

    • Author(s)
      倉林宏明, 大谷 真, 伊東一典, 橋本昌巳, 香山瑞恵
    • Organizer
      日本音響学会
    • Place of Presentation
      東京工科大学
    • Year and Date
      20130313-20130315
  • [Presentation] Kinectと角度センサを用いた6自由度仮想聴覚ディスプレイ2012

    • Author(s)
      大谷 真, 伊東一典
    • Organizer
      日本音響学会
    • Place of Presentation
      信州大学
    • Year and Date
      20120919-20120921

URL: 

Published: 2014-07-24  

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