2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650060
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
柳田 康幸 名城大学, 理工学部, 教授 (70230266)
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Keywords | 触覚 / 風覚 / バーチャルリアリティ / 感覚知覚 / 風向 |
Research Abstract |
風を提示して空間演出を行う風覚ディスプレイがいくつか開発されているが,本研究ではその設計の基礎となる人間の風向知覚特性に関する知見の獲得を目指す.本研究の準備段階において,既存の多くの風覚提示システムで使用されている小型ファンを用いると,発生する風の局所性が風向知覚の弁別閾に影響する可能性が示唆されていた.本研究では,風の局所性による風向知覚への影響を明確化するとともに,さまざまな方向から頭部全体に均一な風を提示可能な実験システムの構築を行い,風向識別の弁別閾測定を行った. 初年度は,直径12cmの小型ファンを使用し,さまざまな方向から風を提示する際の中心位置を鼻先,鼻の根元,頭部中心に設定した場合の各実験条件について,風向知覚の弁別閾を測定した.この結果,風の局所性が風向知覚精度に影響していることが明確になった.次に,頭部全体に均一な風を提示可能な実験環境構築を行った.小型ファンの3×3アレイを用いて頭部全体に均一な風を提示可能であることを確認した上で,このファンアレイが円弧状の軌道上を動く実験装置の機構試作を行った. 2年目は,実験システムを完成させ,単発のファン(局所的な風)と3×3のファンアレイ(均一な風)による風向知覚弁別閾測定を行った.その結果,弁別閾は単発ファンの方が有意に小さいという結果が得られた.すなわち,風の当たる部位が被験者の方向知覚手掛かりとなり,均一な風より高精度に方向を識別していることが示された.加えて,各方向の風提示用に別個のファンを用いていた従来の装置による結果と比較して,同じファンが円弧状を移動する新実験装置を用いると有意に方向識別精度が高くなり,風の局所性と併せてファン取り付け精度による影響が無視できないことが明らかになった. 以上により,風覚ディスプレイ設計のための風向知覚特性について,有益な知見を提供できたと考える.
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