2014 Fiscal Year Research-status Report
国語教材を訓練集合とした機械学習による心情推定方式の研究
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24650061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 聡 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30346100)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機械学習 / 感性情報学 / 人工知能 / クラウドソーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、「ヒューマンコンピュテーション」と呼ばれる、人間と計算機それぞれが得意な情報処理能力を組み合わせることで、効率よく精度の高い処理を実現するアプローチが人工知能分野で注目を集めつつある。物語文中の登場人物の個々の発言に表現される感情を推定することは、このようなアプローチが有効な問題の一つと考えられる。クラウドソーシングで得られた感情ラベルに対し、計算機による統計的品質制御を導入することで、高い精度で感情を推定することが可能となる。一方物語文中の感情は、それぞれ独立に生成されるのではなく、悲劇や喜劇といった物語全体の感情の傾向、登場人物の性格(たとえば、怒りっぽい人物や気の弱い人物)、ストーリー展開の中での文脈(たとえば、会話相手が喜んでいれば、その登場人物も喜んでいる可能性が高い)といった制約に支配される。感情ラベル推定のための従来の確率モデルに、このような感情の一貫性と文脈情報を考慮するための拡張を加えたモデルを提案した。この確率モデルを用いて感情ラベルを推定するアルゴリズムを開発し評価実験を行った結果、感情の一貫性と文脈情報を考慮することで、従来のモデルよりも高い精度で感情ラベルを推定できることを示した。 また、現在の感情情報処理の研究では、中村の10基本感情モデルやEkmanの6基本感情モデルなど、様々な種類の感情モデルが用いられており、このことが、ある感情モデルで作成したデータが、他の感情モデルを前提としたシステムで使用することができないといった互換性の問題を生じている。このような感情モデル間の互換性の問題を解消するアルゴリズムの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物語文中における感情の一貫性と文脈情報を考慮した確率モデルを提案し感情ラベル推定を行った研究が、電子図書館分野のトップカンファレンスACM/IEEE Joint Conference on Digital Libraries (JCDL 2015)に採択されるなど、順調に研究成果を挙げていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の提案技術は、物語文の感情を込めた自動読み上げなど、様々な応用システムの基盤となるものであるが、その際に、異なった感情モデル間の互換性の問題は非常に重要となる。様々な感情モデルの組み合わせで評価実験を行い、アルゴリズムの改善に繋げていきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に国際会議において発表を行う予定であったが、追加実験が必要となったため予定を変更して平成27年度に発表を行うこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議参加費、旅費、実験の費用などに使用する。
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