2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 寛之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (70329118)
荒川 貴博 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50409637)
宮島 久美子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (10516298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 匂い情報 / 可視化 / 3次元 / 揮発性成分 |
Research Abstract |
24年度では匂い成分の空間中での発光現象の観察を目標に、簡易型の酵素ミスト発生装置を導入し、まず予備実験としてガス状の過酸化水素の気相系での発光を確認し、その後に空間中に存在するエタノールガスの発光現象を高感度CCDカメラで捉えることに成功した。詳細を以下に記す。 エタノールガスの気相系での3次元での発光現象を確認するため、まず過酸化水素ガスに対するルミノール発光を、既存設備である高感度CCDカメラにて観察した。実験では簡易型の酵素ミスト発生装置を導入し、「ルミノール試薬とペルオキシダーゼの酵素溶液」を発生装置内のタンクに充填し、酵素ミストを発生させ、暗室ブース内のミスト容器に均一に滞留させた。次に別途、外部ノズルより過酸化水素水をガス状に噴霧し、この時に発生する青色発光を暗室ブース内に設置した高感度CCDカメラにて検出した。実験では濃度の異なる過酸化水素溶液を噴霧し、発光出力の変化を調べたところ、過酸化水素ガス濃度に応じた3次元可視化の動画像が観察され、発光出力と濃度に相関性が観察された。 次に同様なシステムを使って、空間中のエタノールガスのルミノール発光を検出する実験を行った。エタノールガスの発光では、「ルミノールとHRPに加えて、アルコール酸化酵素を含む酵素溶液」を用いて酵素ミストを発生し、ミスト容器内に滞留させた。高濃度のエタノールガスをミスト容器内に負荷し、その際の青色発光を高感度CCDカメラにて検出し、エタノールガスによる発光現象を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請課題の目的は、空間での滞留性に優れたミストの発生が可能な酵素ミスト発生装置を導入し、高感度CCDカメラと組み合わせ、空間中の匂い成分を3次元での動画像とする可視化システムを開発することで、さらに酵素を磁性化ビーズに固定化しミスト化することで、高額な酵素を再利用できる可視化方法を開発することである。これにより、「住環境汚染物質の可視化」や「食品臭の香り画像化」、将来の「生体臭診断」へと展開できると共に、匂い情報を融合した「新たな情報化社会」を創生する。そして24年度の研究目標は、特に社会的にニーズが高く、他の匂い成分へと展開が可能なエタノールガスについて、その発光前駆体である過酸化水素の可視化を実現し、続いてエタノールガスの可視化を行うことであった。 これに対して、申請者らは簡易な酵素ミスト発生装置を導入し、酵素をミストとして空間中に滞留させ、既存設備である高感度CCDカメラを利用して、まず発光前駆体である過酸化水素の3次元可視化に成功した。さらにエタノールガスの気相系での発光現象を確認し、24年度の目標を概ね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の結果を踏まえ25年度では、3次元での可視化および濃度定量について、既存設備である標準ガス発生装置を用いて、一定濃度のエタノールガスをミスト容器内に負荷し、高精彩画像キットを導入し、既存の高感度CCDと組み合わせ、エタノールガスの3次元可視化と濃度定量を実施する。 エタノールガスの可視化を見据えた3次元匂い可視化イメージング装置システムは、既存の高感度CCDカメラに高精彩画像キットを組み合わせ、先の酵素ミスト発生装置を組み込んだ暗室ブースに設置する。高精彩画像キットは本申請課題のため特別注文するもので、既存設備である高感度CCDカメラに組み合わせて、イメージングインテンシファイアユニット、対物レンズ、画像処理ソフトを備えており、超高感度な画像化装置ではなく、安価な付帯設備(暗室等)でも利用できるような受光感度で、反面、ルミノール発光での青色発光の他、蛍光反応に伴う短波長や長波長等でも対応できるワイドレンジの受光波長域の計測が撮影装置とする。また申請者のこれまでの知識と技術を活かし、局所廃棄ベンチ内に外部光を遮断する2重構造の暗室ブースを設ける。本装置に、先の酵素ミスト発生装置より酵素ミストをミスト容器に流入・滞留させ、標準ガス発生装置よりエタノールガスを負荷し、エタノールガスの時間的・空間的な濃度変化を3次元で可視化画像として撮影すると共に、エタノールガス濃度の定量を実施する。 最終年度では、高額な酵素を回収可能とするために、磁性化酵素ミスト作製装置を導入し、再利用が可能な可視化システムへと発展させ、また本システムを医療診断にも有効なシステムへと展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度では簡易型の酵素ミスト発生装置を導入することで、研究費の支出を抑制し、目標を概ね達成することに成功した。25年度はその未使用費用を有効に活用し、高精彩画像キット及び安価な暗ブースの導入を検討して、エタノールガスの時間的・空間的な濃度変化を3次元で可視化画像として撮影すると共に、エタノールガス濃度の定量を実施する。 また研究費を酵素や化学試薬、機械・電気部品などの物品費に支出するほか、これまでの実験結果の国内外学会会議での発表や、学術論文への投稿費用にも充当する。また研究を加速するため、実験補助等への謝金にも支出する。
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