2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650078
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 寛之 明治大学, 理工学部, 准教授 (70329118)
荒川 貴博 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 講師 (50409637)
宮島 久美子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (10516298)
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Keywords | 匂い情報 / 可視化 / 3次元 / 揮発性成分 |
Research Abstract |
本研究の目的は、空間での滞留性に優れたミストの発生が可能な「酵素ミスト発生装置」を導入し、高感度CCDカメラと組み合わせることで、空間中の匂い成分を3次元での動画像とする可視化システムを開発する。さらに酵素を磁性化ビーズに固定化しミスト化することで、高額な酵素を再利用できる可視化方法を開発することである。 申請者らは昨年までに、簡易型の酵素ミスト発生装置を導入し、まず予備実験としてガス状の過酸化水素の気相系での発光を確認し、その後に空間中に存在するエタノールガスの発光現象を高感度CCDカメラで捉えることに成功しており、本年度は更に高感度なEM-CCDカメラを用いて、局所廃棄ベンチ内に外部光を遮断する暗室ブースを設け、先の酵素ミスト発生装置を組み込むことで、高感度な3次元可視化システムの構築を進めた。本装置に、酵素ミスト発生装置より酵素ミストをミスト容器に流入・滞留させ、標準ガス発生装置(Permeater PD-1B、ガステック社)よりエタノールガスを負荷したところ、EM-CCDカメラを用いて、エタノールガスの時間的・空間的な濃度変化を3次元で可視化動画として画像することが可能であった。しかし、そのエタノールガス濃度分布の変化を大まかに捉えることは可能であるものの、その濃度分布の変動割合が大きく、且つ高速に変動することから、その濃度変化を十分に捉えることができず、濃度を定量するには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請課題の目的は、空間での滞留性に優れたミストの発生が可能な酵素ミスト発生装置を導入し、高感度CCDカメラと組み合わせ、空間中の匂い成分を3次元での動画像とする可視化システムを開発することで、さらに酵素を磁性化ビーズに固定化しミスト化することで、高額な酵素を再利用できる可視化方法を開発することである。これにより、「住環境汚染物質の可視化」や「食品臭の香り画像化」、将来の「生体臭診断」へと展開できると共に、匂い情報を融合した「新たな情報化社会」を創生する。そして25年度の研究目標は、特に社会的にニーズが高く、他の匂い成分へと展開が可能なエタノールガスについて、高感度な3次元可視化を行い、さらにそのガス濃度の定量を行うことであった。 これに対して、申請者らは局所廃棄ベンチ内に外部光を遮断する2重構造の暗室ブースに高感度なEM-CCDカメラと酵素ミスト発生装置を組み込むことで、高感度な3次元可視化システムの構築を行った。本システムに実験を行った結果、エタノールガスの時間的・空間的な濃度変化を3次元で可視化画像することが可能であったものの、エタノールガスの濃度分布が高速に変動することから、濃度を定量するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を踏まえ26年度では、3次元での可視化および濃度定量について更に進めるとともに、高額な酵素を回収可能とするために、酵素ミストの磁性化を行い、再利用が可能な可視化システムへと発展も検討を行う。 本研究で用いている酵素ミスト発生装置では、酵素をミストとして空間中に滞留できるものの、時間の経過に伴い沈降した酵素は回収できないことから、高額の試薬を多量に使用・廃棄することになり不経済で、システムの利用において大きな課題となる。そこで、ミスト化した酵素を回収するために、磁性化酵素ミストを作製する。実験では、磁化特性に優れた磁性ビーズを合成し、その磁性ビーズと酵素、光架橋樹脂を含む溶液をミスト化し、滞留中の酵素ミストに紫外線照射を行うことで、10um程度の磁性化酵素とする。これにより一度ミスト化した酵素を可視化実験後に電磁石にて回収することで、可視化システムで繰り返し使用可能とする。またエタノールガスの濃度分布が高速に変動することから、可視化映像の画像解析を行うことで、ガス濃度の定量化を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度ではEM-CCDカメラを流用し、簡易型の暗室ブースを導入することで、研究費の支出を抑制し、3次元のエタノールガスの高感度な可視化を行うことができた。26年度(次年度)では新たに、磁性特性に優れた磁性ビーズの合成や磁性化酵素の作製を行う必要があるため、当初の計画以上の費用支出が発生する。 25年度ではEM-CCDカメラを流用し、簡易型の暗室ブースを導入することで、研究費の支出を抑制し、3次元のエタノールガスの高感度な可視化を可能とした。26年度はその未使用費用を有効に活用し、特性に優れた磁性ビーズの合成及び磁性化酵素の作製、可視化映像の画像解析への費用支出を検討する。これにより、エタノールガスの3次元可視化とともに、エタノールガス濃度の定量を可能とし、磁性ビーズによる酵素の回収が可能なシステムを構築する。 また研究費を酵素や化学試薬、機械・電気部品などの物品費に支出するほか、これまでの実験結果の国内外学会会議での発表や、学術論文への投稿費用にも充当する。また研究を加速するため、実験補助等への謝金にも支出する。
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Research Products
(4 results)