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2013 Fiscal Year Research-status Report

皮膚振動の視覚的フィードバックを用いた発声訓練手法の開発

Research Project

Project/Area Number 24650088
Research InstitutionKonan University

Principal Investigator

北村 達也  甲南大学, 知能情報学部, 教授 (60293594)

Keywords音声 / 発話 / 皮膚振動 / 発話訓練 / 歌唱訓練 / レーザドップラ振動計 / 言語聴覚士 / 声楽家
Research Abstract

本年度は,(1) 言語聴覚士による発声訓練前後の皮膚振動計測,(2) 声楽家の歌唱時の皮膚振動計測,(3) 声楽家による歌唱訓練前後の皮膚振動計測を行った.
(1)では,言語聴覚士がチューブ法により発声訓練を行い,その前後の顔面の皮膚振動を計測した.チューブ法とは,ストローをくわえて持続的に発声することにより声道形状を変えたり,口唇周辺の振動感覚を意識させたりする訓練法である.計測の結果,一部の被験者では訓練前後に大きな変化が見られた.また,鼻,上唇,喉の皮膚振動に特徴が現れることも明らかになった.(2)では,皮膚振動計測の再現性を調査した.本人の出しやすい高さで母音「あ」を連続的に歌唱させ,3回の計測結果のばらつきを調べた.その結果,外れ値(3回の計測の中央値との差が6 dBを越えるもの)を示した計測は2.4 %であり,その発生場所は頭部の動きによってレーザ光が垂直に当たらなくなってしまう点が多かった.声楽家は歌唱時に頭部を動かす傾向があり,歌唱に影響を与えない頭部固定法が課題として明らかになった.この実験に加えて,歌い方の良し悪しによる皮膚振動パターンを比較したが,鼻にかかった歌声の場合を除き,明確な差異は観察されなかった.(3)では,一般学生に声楽家の歌唱訓練を受けさせ,その前後での皮膚振動を計測した.訓練によって歌唱に上達は見られたものの,計測時にまでその状態が維持されなかったため,皮膚振動パターンに明確な差異は見られなかった.
この他,プロ腹話術師の腹話術発話における皮膚振動計測を行った.通常発話中の皮膚振動と比較した結果,腹話術発話では鼻およびその周囲の皮膚振動速度が大きくなることが明らかになった.これは,腹話術音声が口唇部からではなく鼻孔から放射されていることを示している.この計測の模様および結果はテレビで放映され,皮膚振動計測の意義を広く知らしめることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は,(1) 皮膚振動パターンと頭頸部の内部構造との対応付け,(2) 独特な訓練用語と皮膚振動パターンの対応付け,(3) 訓練における適切なフィードバックの検討の3点を実施する計画であった.
(1)と(2)は歌唱を対象にしたものである.声楽家を対象にした皮膚振動計測を数回試みた結果,皮膚振動パターンは頭頸部の内部構造というよりむしろ組織の柔軟性に依存している可能性が高いことが明らかになった.具体的には,鼻,上下口唇,頬,喉などの柔軟性の高い部位で皮膚振動速度が大きくなる.その一方で,当初大きな皮膚振動速度が計測されると予想した前額などの直下に骨のある部位では皮膚振動速度が小さくなる傾向がある.これらのことから,現段階では(1)の検討を取り止めている.(2)に関しては,そもそも歌唱時の皮膚振動パターン計測に課題がある.その原因は,声楽家の頭部が歌唱時に動くため,レーザ光の照射位置がずれてしまうことにある.そのため,訓練用語との対応付けまで進んでいない状況である.(3)は言語聴覚士の協力を得て順調に進捗している.フィードバックを与えるための皮膚振動の計測位置として鼻,上唇,喉の3点を特定することができ,実際の発声訓練に皮膚振動を活用するメドが立ちつつある.
以上の成果から,本研究はやや遅れている状態であると結論できる.

Strategy for Future Research Activity

最終年度である3年目は,(1) 声楽家の歌唱時の皮膚振動計測,(2) 発話訓練における皮膚振動利用の効果の評価の2点を実施する計画である.
(1)に関しては,歌唱時に頭部が動く問題を解消するため,仰臥位にて歌唱できる歌手を対象にして頭部を固定して計測を試みる.
(2)に関しては,鼻,上唇,喉の3点の皮膚振動を被訓練者にフィードバックすることによる訓練効果を調査する.発話訓練の場合でも被訓練者の頭部は動くため,レーザ振動計ではなく加速度ピックアップを利用して皮膚振動の計測を行う.自覚的な振動感覚のみならず,計測結果をフィードバックすることによって,訓練効率の向上が期待できる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

皮膚振動パターンと頭頸部の内部構造との対応付けの検討を取り止めたため,MRI計測にかかる費用を次年度使用する.
発話訓練における皮膚振動活用効果を研究するため,加速度ピックアップおよびアンプを購入する.

  • Research Products

    (6 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] スキャニングレーザドップラ振動計による歌唱時の皮膚振動計測における再現性の検証2014

    • Author(s)
      北村達也
    • Journal Title

      音声言語医学

      Volume: 55 Pages: 167-172

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.5112/jjlp.55.167

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 調音観測の最近の動向―まとめとその他の研究手法2014

    • Author(s)
      北村達也
    • Organizer
      日本音声学会第329回研究例会
    • Place of Presentation
      神戸大学
    • Year and Date
      20140621-20140621
  • [Presentation] 歌唱時の皮膚振動計測における再現性の調査2014

    • Author(s)
      北村達也, 金澤咲弥
    • Organizer
      日本音響学会春季研究発表会
    • Place of Presentation
      日本大学
    • Year and Date
      20140311-20140311
  • [Presentation] スキャニング型レーザードップラ振動計によるチューブ発声法の皮膚振動計測2013

    • Author(s)
      川村直子, 北村達也, 城本修
    • Organizer
      日本音声言語医学会学術講演会
    • Place of Presentation
      高知市文化プラザかるぽーと
    • Year and Date
      20131018-20131018
  • [Presentation] Pilot study of vibration pattern measurement for facial surface during singing by using scanning vibrometer,2013

    • Author(s)
      Tatsuya Kitamura, Hiroaki Hatano, Takeshi Saitou, Yui Shimokura, Eri Haneishi, Hiroko Kishimoto,
    • Organizer
      Stockholm Music Acoustics Conference 2013
    • Place of Presentation
      KTH Royal Institute of Technology, Stockholm, Sweden
    • Year and Date
      20130730-20130803
  • [Remarks] Vibration pattern of facial surface

    • URL

      http://basil.is.konan-u.ac.jp/laser/

URL: 

Published: 2015-05-28  

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