2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650089
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三好 扶 岩手大学, 工学部, 准教授 (10392193)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 左右翅翼振幅量変化 / 揚力生成 / 操縦筋 / 2翅 |
Research Abstract |
本研究は、来るべき宇宙環境利用・惑星長期滞在に向け、微小重力空間内における飛行機能を有する飛翔昆虫モデル型のロボット開発を最終目標とする。飛翔昆虫はラダー(尾翼)無しでの方向転換機能を実現するが未だこのメカニズムは不明であり、これを解明するために“両翅の羽ばたき翼振幅量を制御することで、左右翅の揚力・推力の差分から方向転換を実現する”と仮説をたてている。 本年度は、上記仮説を検証するため、左右の羽ばたき振幅量を制御するための操縦筋モデルを搭載した羽ばたき装置を試作・改良し、羽ばたき動作時に生成される渦流変化をPIV計測手法によって計測した。 研究の第1段階として、羽ばたき装置の操縦筋モデルをサーボ機構へ改良し、微小な左右翼振幅量差異を生成可能にした。操縦筋モデルの角度変化と翼振幅量変化との相関関係は3次元動作解析システムによって翼先端部に設置したマーカの移動量から計測し、操縦筋モデルの角度変化に応じた所定の翼振幅量変化が得られることを確認した。この成果は、ISABMEC2012にて発表するとともに、現在論文投稿中である。 研究の第2段階として、上記羽ばたき装置の1Hz羽ばたき動作中における、翼周りの渦流生成過程をPIV計測実験によって計測した。その結果、先行研究で報告されている、馬蹄渦の発生、前縁渦の形成、後縁渦の剥離、および随伴渦の形成が本装置でも確認され、本装置を用いた計測は、従来得られた知見を再現できることが確認された。そこで、操縦筋モデルの角度変化に伴う同一羽ばたき周波数下における翼振幅量変化をさせた際の、翼周りの渦生成状況をPIV計測し、先の4渦が同様に生成されること、およびその渦の大きさが操縦筋角度によって異なることを、これまでに確認できた。次年度は、この渦生成過程を定量的に評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、来るべき宇宙環境利用・惑星長期滞在に向け、微小重力空間内における飛行機能を有する飛翔昆虫モデル型のロボット開発を最終目標とする。飛翔昆虫はラダー(尾翼)無しでの方向転換機能を実現するが未だこのメカニズムは不明であり、これを解明するために“両翅の羽ばたき翼振幅量を制御することで、左右翅の揚力・推力の差分から方向転換を実現する”と仮説をたてている。 この仮説に対し、左右の羽ばたき振幅量を制御することで、左右翅羽ばたきによって生成される揚力に差異を生せしめることは、体重心を中心とした回転力を生成することにつながる。従って、この回転力が進行方向をコントロールすることを可能にするとともに、ラダー(尾翼)による流れ方向制御を必要としない機構が構築可能である。 現時点までで操縦筋モデルによる翼振幅量制御が達成されており、国際学会発表1回、および論文投稿に至っていることから、研究は概ね順調に進展していると判断できる。 また、翼振幅量変化にともなった渦生成過程の変化が認められており、この変化は再現性が高かったことから、更に研究を続けることで、仮説の検証とともに当初目的を達成できると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初目的である宇宙環境、微小重力環境を想定すると、翅面に作用する重力方向やその大きさが変化による実機モデルの挙動に与える影響を明らかにする必要がある。また、翼振幅量変化と渦生成過程の相関、実際に生成される揚力や回転力の計測、など解決すべき課題は多岐に渡る。 また、低レイノルズ数領域では、現存の固定翼よりむしろ羽ばたき翼を有する飛行がエネルギー効率が有利とされているが、飛行姿勢の安定性などは未だ明らかにされていない。これらは地球上での検証が非常に難しいため、国際宇宙ステーションや放物線飛行等の環境を呈示する必要があろう。 別の視点として、優れた羽ばたき装置の理論・シミュレーションが達成されても、そのサイズが宇宙空間へ運搬できるサイズでなければ、これは実用化されることはない。従って運搬に適した翼収納機構も併せて考えていく必要がある。 これらの課題は相補的であるとともに、トレードオフの関係も有することから、様々な理論・手法による複合的な解析を実施しなければならない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(4 results)