2013 Fiscal Year Research-status Report
バイオフォトカプラを用いた昆虫―機械ハイブリッド匂い源探索システムの開発
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24650090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 規泰 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70436591)
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Keywords | ロボット / 匂い源探索 / 昆虫 / 光遺伝学 |
Research Abstract |
実環境を移動するロボットが取得したガスセンサの情報を光刺激に変換し,光感受性陽イオンチャネルのチャネルロドプシン2(ChR2)をフェロモン受容細胞に発現した遺伝子組み換えカイコガ(ChR2カイコガ)に与え,発現する匂い源探索行動で移動ロボットを制御する本研究提案のシステムを構築した.移動ロボットは市販の教育研究用のプラットフォームを基本として,Bluetooth経由でガスセンサ情報の送信,および制御情報の受信を行った.ChR2カイコガへの光刺激には,高輝度青色LEDを光源として光ファイバで左右の触角へそれぞれ導光した.光刺激に対するカイコガの歩行運動は,足元のボールの回転で読取り,前後・左右の変位から移動ロボットの運動指令情報を生成した.連続的に変化するガスセンサからのアナログ信号を光刺激に変調する手法として,10 Hzのパルス振幅変調を採用した.ガスセンサの信号を光強度に変換し連続光として与えると,触角の温度上昇に起因するとみられる逃避行動が確認されたため,10 Hz, デューティー比50%のパルス波を搬送波とした.匂い源であるエタノールに対する匂い源探索を風洞内で試験したところ,ガスセンサが取得する匂い濃度の強弱で光刺激の強度が調節され,ChR2カイコガが匂い源探索行動を発現することが確認された.また,カイコガの運動により移動ロボットが制御され,匂い源に向かって移動することが確認できた.一方,これまでの匂い源への定位成功率は2割弱と低く,原因として左右触角への光刺激の分離が十分でない可能性や,光刺激に対する視覚運動系の影響,そして300 ms程度のシステム全体の時間遅れが考えられ,次年度に向けて改良することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昆虫を利用したハイブリッド匂い源探索のシステムの構築に成功し,提案した光を介して実環境の匂い情報を伝達する「バイオフォトカプラ」によるロボットの遠隔制御を実証することができた.さらに,同一の移動プラットフォームへ,任意の匂い源探索アルゴリズムを実装して本システムとの比較も実施することができた.このことは,探索アルゴリズムと実際の昆虫の脳機能を直接比較することを可能とするものであり,研究手法としてもロボット工学のみならず神経科学への貢献が期待された.
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在使用している応答速度の速い熱線型半導体式センサを用いて,匂い源への定位成功率の向上を目指す.ガスセンサ情報の光刺激への変調方式,変調パラメータの調整,左右への触角への光刺激の位置制御,システムの遅れの低減,そして光刺激の視覚運動系への評価を行う.次に,特性の異なるガスセンサ,特に応答速度が遅いセンサを用いた場合のChR2カイコガへの刺激パラメータ,そしてロボットの運動パラメータの調整を行い,様々な種類のガスセンサに対応できる匂い源探索システムの開発を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでにシステムを構築し,カイコガの遠隔操縦によりエタノール源の探索に成功し,バイオフォトカプラが機能することを実証した.一方,視覚情報に関する新規な知見や,光刺激による発熱,ロボット周囲の空気の流れの制御の必要性が生じたことから,これらの点を解決することで高い匂い源探索能力を実現できると考え評価を行った.そのため,他のガスセンサの利用による実用性の評価を25年度内に実現することが困難になった. 他の種類のガスに感度を持ち,応答速度の異なるセンサを実装した場合に,構築したシステムのパラメータ調整により任意の匂い源に対する探索が可能であるかシステムの実用性の評価を行う.本年度の未使用額は,このための電子回路の試作,実験環境の構築に関わる消耗品費・および研究成果の学会発表の旅費に使用する.
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