2012 Fiscal Year Research-status Report
発達原理解明のための柔軟な皮膚に覆われた胎児ロボットと子宮環境の開発と検証
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24650095
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 裕紀 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80610849)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 胎児 / 早産児 / ロボット / 子宮内発達 / 発達ケア |
Research Abstract |
胎児・早産児ロボットを開発するため基礎的な部品や構造等の検討を行った。 ターゲットとなる週齢は35週として、文献調査から頭殿長を310±33mm、全長を432±43mmとした。ロボットの自由度としては、腕5×2(左右:肩3、肘1、手首1)、脚5×2(左右:股3、膝1、足首1)、首2、体幹2×2とした。柔軟な皮膚としては、柔軟な素材も取り扱えるObjet社の3DプリンタConnexシリーズを使用できる目途が経ったため、この3Dプリンタを用いてロボット本体と子宮環境の造形を行う。 柔軟な皮膚を覆い触覚を検出するセンサとしてタカノ株式会社からEIT(Electrical Impedance Tomography)を用いた触覚センサを購入し、動作確認を行った。このセンサは、曲面や柔軟な部位にも実装可能な触覚センサであり、タカノ株式会社と協力して具体的実装方法を検討することとなった。 アクチュエータにはスキューズ株式会社から購入した小型のマッキベン型人工筋肉を用いる事とした。このアクチュエータの仕様は直径6mm(伸長時)-10mm(収縮時)、全長51-26mm、定格圧力200kPa、引張力25N、給気管外径2mmであり、本研究のロボットのアクチュエータの性能として十分である。ロボットの関節やアクチュエータ配置を3DCAD上で検討し、腕や足、首については、それぞれ個別に3Dプリンタを用いて出力を行い、動作確認を行い、良好な結果を得た。 次年度はこの成果を統合しロボットを完成させ、胎児環境と早産児環境において検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、開発のための基礎事項の検討であった。当初の計画になかった3Dプリンタによる柔軟素材の造形が行える目途が立ったため、シリコン素材等の素材段階からの検討を省略する事ができた。また、各部関節機構等は試作を繰り返しており十分な基礎データが収集できた。羊水の素材に関する検討が不十分であるが、その他の進捗が想像以上に進んでいるため総合すると「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り以下のように研究を推進する。 1.機構の設計と製作:前年度に検討した機構にしたがって3DCADを用いて詳細設計を行い、部品を製作する。2.柔軟物の開発:ロボットを覆う皮膚と子宮を製作する。3.全体の統合:部品を組み立てて全体を完成させる。 年度後半では検証実験を行う。(a)子宮内環境での触覚パターン計測子宮内で、胎児に見られる滑らかで乱雑な運動であるGeneral Movementに似た運動パターンで動作させた時の感覚パターンを計測し、各種センサ等が確実に動作している事を確認する。(b)理学療法士によるマッサージのモニタリング実験理学療法士数人を被験者として、ロボットに対してマッサージを行い、その際の触覚データを取得する。取得されたデータを可視化し、早産児マッサージ改善の基礎情報として理学療法士等に情報提示する。その際に、それらのマッサージによる触覚パターンが子宮環境で自発運動により行われる発達パターンと違いがあるかを調べる。(c)療育用機具による早産児の感覚経験計測ネスティングやスワドリングに使用される器具を用いて、胎児ロボットを包んだ際の触覚パターン等を計測し、子宮内でのパターンと比較する。子宮内環境と子宮外環境における神経系と行動の自己組織化実験自己組織化神経回路を実装して、胎児ロボットの行動や神経回路の結合の変化を観察する。また、子宮内経験の期間を変化させた時の子宮外での振る舞いの違いを観察し、早産児の発達と子宮内経験の関係について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
部品の購入を中心に使用する。また、ロボットが完成した段階で研究のコンセプトについて論文発表を行うため旅費が必要である。
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