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2012 Fiscal Year Research-status Report

代数エージェントにボードゲームをさせたい~感性に訴える代数系の可視化~

Research Project

Project/Area Number 24650099
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

村井 哲也  北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (90201805)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords感性工学 / 代数系 / ボードゲーム
Research Abstract

本研究の目的は代数系を感性的に捉えるための手段としてのゲームを提案し,代数系の性質がゲーム内でどのような形で現れるかを考察することである.本年度で考察したゲームは,格子状のセルに分けられた2 次元平面上で動くエージェント(コマ,代数系の元に相当する)が互いに作用を及ぼし合いながら進行する.代数の元はいくつかのチーム(代数系に相当する)に分かれ,互いに作用を及ぼすことにより消滅したり相手チームに組み入れられたりし,最終的に生き残ったチームを勝者とする,という設定で定式化した.
この定式化に基づいて,実際にシミュレーションを実行した(使用言語はC++).代数系として,自然数の剰余和と剰余積を選び,いくつかの法の下でそれぞれ100回の試行をした.その結果,零元が出現しやすい状況にある時ほど剰余積チームが勝利しやすく,0 が出現すると必ず勝つことが分かった.0の出現しやすさに大きく影響するのが剰余の法であることも確認した.また,ゲームの長さについて,剰余和チームが勝利する場合,比較的終了までのターン数が小さいことが分かった.これはゲームが長引く程0 が発生する確率が上がり剰余積の勝率が上がるためである.
以上の実験結果を踏まえて,零元は剰余積チームにとって,必勝をもたらす極めて特殊な元である.ゲームを長引かせれば0が出現しやすくなるので,剰余積の勝率は上がっていくことになる.逆に剰余和は多くの場合,0 が出現しないうちにゲームを終わらせることになる.これはあたかもそれぞれの代数系が「剰余積は頼みの綱である0 が発生するまで持ち堪える」「剰余和は厄介な敵である0 が発生しないうちに畳み掛ける」という感性的戦略の下でゲームを実行するかのような印象を人間に抱かせる.つまり,0 という特殊な元を鍵として,代数系に感性的な振る舞いを見出すことができたと結論した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

申請書では本年度の目的を「種々の代数系の公理や法則のうち,どれがゲームにおけるルールとして妥当に解釈できるかを,ボードゲームを念頭においた離散座標平面(ℕ×ℕ)におけるシミュレーション実験と連携させ十二分に吟味する.」とした.実際,前記実績概要に記入した通り,適切な演算子として吟味した結果,剰余和と剰余積が候補となり,シミュレーションを行った結果,当初予想通り,感性的挙動を確認することができた.また,本年度作成したプログラムは次年度に計画する研究を前倒しで考察の上,その方向性を見越して,拡張性や変更の自由度が高いように構築されているので,ほとんど支障なく新年度の研究に突入できる.以上から,本研究は当初の計画以上に進展していると判断している.

Strategy for Future Research Activity

今後は本年度の考察を発展させてシミュレーションの場(ゲーム環境)を拡張した実験・考察を通して,本アプローチによる「感性に訴える代数系の可視化」の実現可能性について検討する.様々な設定でシミュレーション回数を繰り返すことがまず肝要と考えられ,膨大な結果の中から感性的振る舞いの発見をめざし,理論へのフィードバックとする.より具体的には,申請書に記した通り,(1) 複数の場とその間の転送 (2) 次元を上げる (3) 障壁を設ける:迷路,障害となる図形の配置など (4) 通常のユークリッド空間や距離空間 (5) 種々の位相空間など,種々のゲームの場において,代数系の特徴がどのように反映するかを明らかにする.特に,迷路(現実空間)と迷路上のネットワーク空間(グラフ構造)は現在のネット環境を反映したゲームの場として興味深い.現実空間は移動に時間というコストがかかるが,ネット空間は単なる写像で結ばれていて,移動時間を0 とみなしてよい.ネット空間にも敵と味方が配置できる,現実空間のエージェントもネット空間に溶け込むことができる(サイバーパンクやマトリックス)など,興味深いゲーム環境である.この点を重点的に考察,実験することで,本研究が情報ネット社会における新たな知見を与えられるように渾身の努力をしたい.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Shall We Let Algebraic Agents Play a Board Game ?2013

    • Author(s)
      K.ENDO, T.MURAI, Y.KUDO, M.F.KAWAGUCHI, N.V.HUNYH
    • Journal Title

      Proceedings of 1st International Symposium on Affective Engineering 2013

      Volume: 1 Pages: CD-ROM

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Algebraic Agents Playing a Board Game for Kansei Engineering2012

    • Author(s)
      K.Endo, T.Murai, Y.Kudo, M.F.Kawaguchi, N.V.Huynh
    • Journal Title

      Proceedings of 13th International Symposium on Knowledge and Systems Science

      Volume: 1 Pages: CD-ROM

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ゲームを実行する代数エージェントの提案

    • Author(s)
      遠藤健太郎, 村井哲也, 工藤康生
    • Organizer
      第28回ファジィシステムシンポジウム
    • Place of Presentation
      名古屋工業大学(名古屋市)
  • [Presentation] 代数エージェントがゲームを楽しむ! ~人工感性一設計法への布石~

    • Author(s)
      村井哲也, 遠藤健太郎, 生方誠希, 工藤康生
    • Organizer
      第14回日本感性工学会大会
    • Place of Presentation
      東京電機大学東京千住キャンパス(東京都)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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