2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会的関わりによって発展・変化する報酬獲得戦略のモデル化
Project/Area Number |
24650102
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾崎 繁 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60292546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水挽 貴至 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60463824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感性情報学 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は自身の幸福の追求と社会的関わりの狭間で、様々な経済・社会活動を繰り広げている。このような複雑な社会環境・社会条件を実験的に再現し、その報酬獲得の行動戦略をモデル化することが、本研究の目的である。その第一歩として、人の特質に類似した向社会性と長期的報酬予測の能力に長けた動物(コモンマーモセット)を実験対象に、他個体との関わりによって報酬獲得の確率が変動する“社会的行動決定課題"を開発し、その報酬戦略行動をモデル化する。社会との関わりが発展・変化する中で、どのように報酬獲得戦略を構築していくのか、本研究はその原理を動物モデルを用いて探索する。 【当該年度の研究成果】飼育馴化を完了したコモンマーモセット成体(雌4頭、雄1頭)を用い、以下の実験を行った。1)“社会的行動決定課題"の根幹となる報酬獲得課題の実験:タッチパネノレモニタに提示される視覚刺激へのタッチ応答に対して報酬(ジュース)を与える記録システムを用い、各個体にこの課題の実験条件を変えながら、行動学習訓練を継続した。2) 他個体と関わりの中で報酬を獲得しようとするときの個体間行動を解析するために、2個体を隣接させて報酬獲得課題を実施する実験記録装置を開発し、システムの改良を行った。3) 本年度内に雌1頭が死亡したため、雌雄ペアの個体間関係の構築過程を観察する実験が中断した。雌個体を新規調達したが、報酬獲得課題の習得に至らなかった。 【全体を通じた研究の成果】コモンマーモセットを用いた報酬獲得行動課題の実験システムを開発した。個体間の行動変化を記録し、その際のストレス指標(尿中コルチゾール)を解析した。コモンマーモセットの特性を活用した“社会的行動決定課題”およびその行動モデル化は、他者との関わり(協働、共感、競争、嫉妬等)の中で行動を選択する原理の理解と感性工学的応用に貢献できると考えられる。
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