2012 Fiscal Year Annual Research Report
「心拍-音楽」引き込み効果を利用した不随意的な入眠・起床誘導システムの検証
Project/Area Number |
24650103
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
野村 収作 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (80362911)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 引き込み現象 / アンビエント・システム |
Research Abstract |
本研究は、心拍数に基づき逐次的に音楽のリズムを変調することにより、「心拍-音楽」引き込み効果を利用したより良い入眠や起床を誘導する試みである。音楽のリズムを人間の心拍数に近づけてやると心拍数のリズム同調が起きることが知られている。これは、呼吸性の心拍数調整機構を介した一種の引き込み現象であると考えられている。一方、人間は入眠時に心拍数が低下し、起床後には上昇する。従って、起床時や入眠時に「心拍-音楽」引き込み現象を誘発させることで、入眠・起床を誘導することが期待できる。しかしながらその一方で、これまでこの「心拍-音楽」引き込み現象自体、その効果を統計的に耐えうるレベルで実証した研究は皆無であった。したがって、本年度当初は先ずは、心臓の神経伝達機序に基づく新規のリズム同調アルゴリズムを開発し、その有効性を検証した。その結果、この「心拍-音楽」引き込み現象は、リズム同調アルゴリズムの“逐次性”が非常に重要であることが示された。例えば、心拍数と音楽を同調させる場合、呼吸性不整脈による心拍数の大きなリズム変動を平滑化するようなアルゴリズムを採用した場合は「心拍-音楽」引き込み効果が相対的に小さいことが示された。反対に、呼吸性不整脈による心拍数の大きなリズム変動を厳密にかつ逐次的に音楽の演奏リズムに反映させた場合は、統計的に有意であり、かつ相対的に大きな引き込み効果が観察された。この成果に基づき、本年度後半はこの大きな効果を生むリズム同調アルゴリズムを用いた入眠・起床誘導を検証する為の終夜実験を実施した。結論から述べれば、入眠・起床誘導においては統計的に有意な効果は認められなかった。ただしこれは、期待通り大きな引き込み効果を生む被験者が居た一方で、全く効果の認められない者が居たことによる。この要因については、今後、更に研究を継続する。
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Research Products
(3 results)