2012 Fiscal Year Research-status Report
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24650104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70293248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40185187)
工藤 彰洋 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80455097)
南部 功夫 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40553235)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頭外音像定位 / 強化学習 |
Research Abstract |
イヤホン受聴で頭外の任意の位置に音源があるように受聴者に知覚させる技術として、頭外音像定位技術があるが、任意の位置に存在する音源から両耳までの精度の高い伝達関数 (Head Related Transfer Function: HRTF) を必要とする。HRTFの精度は伝達関数の測定環境と受聴者の身体的な特徴に依存するため、精度が高い頭外音像定位を実現するには、無響室などの大規模な測定環境でHRTFの測定を行う必要がある。我々は、通常の測定環境において計測されたHRTFを,受聴者の主観評価に基づいて、強化学習により正確なHRTFに修正して、頭外音像定位の精度を向上させる手法を検討した。提案手法では、HRTFをARMAモデルを用いて近似し、その係数を強化学習を用いて学習する。提案手法の妥当性を、シミュレーション及び被験者実験によって検証した。 シミュレーションでは、モデル係数にノイズを加えて精度を劣化させて、精度の向上が可能かを検証した。報酬として、受聴者の主観評価の代わりに,Spectrum Distortion (SD)を用いた。結果、全ての方向においてSDの減少を確認し、強化学習を用いたARMA係数の学習が可能であることを確認した。 被験者実験では、両耳のARMA係数1点ずつ計4点について、精度劣化させたHRTFから、被験者の主観評価を基に正しいHRTFを学習できるか、7名の被験者で検証を行った。正面から左右30度の範囲内の一つの方向について、受聴者が知覚した音源位置を回答させ、呈示した位置との角度の差分を報酬として学習を行った。その結果、モデル化HRTFによって作成された頭外音の定位精度が高い3名の被験者では、学習による定位精度の向上とSDの減少を確認した。以上より,強化学習を用いて,受聴者の主観評価を基に,正確なHRTFを獲得できる可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は(1)伝達関数の学習の可能性の検討と(2)脳波を使った強化信号の推定アルゴリズムの確立 を並行して進めてきた。 (1)については、予定通り進捗した。(2)も具体的に脳波信号による実験は実施していないが、そのための準備は予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度の(1)伝達関数の学習の可能性の検討と(2)脳波を使った強化信号の推定アルゴリズムの確立とともに,以下の研究を推進する。 第3ステップ(脳波信号の推定による学習の検証 ― 強化信号推定アルゴリズムの確立)第1ステップ、第2ステップを統合して、脳波信号の判定による伝達関数の学習の可能性を示す。我々は、事前研究において、頭外音像定位システムによって、頭外周囲に仮想音源をランダムに定位させた場合、被験者が意識している方向と定位させた仮想音源の方向が一致した場合には、脳波に事象関連電位(Event-Related Potential)が発生することを確認している。特に刺激後300msec近辺に現れるP300の振幅が大きく現れることを確認している。従って、このP300の発生の有無によって、報酬信号とするか、失敗信号とするかを判断することを最初に検討する。このP300の判別を,ウエーブレット係数を用いた単試行判別の可能性を検討する。また,P300の特徴量だけでなく、他のERPの特徴量も含め、遺伝的アルゴリズムや、粒子群最適化法などを応用して特徴量選択を行い、精度の高い判別方法を確立する。 また,(1)伝達関数の学習の可能性の検討と(2)脳波を使った強化信号の推定アルゴリズムの確立については,方向定位の空間分解能を確認するために、60度間隔、30度間隔の伝達関数の学習の可能性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
解析用・実験用計算機システムの購入、成果発表、研究補助者費用として使用する予定である。
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