2012 Fiscal Year Research-status Report
脳型リズムベース回路を用いたウェアラブルデバイスの適応的自律支援
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24650107
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
我妻 広明 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (60392180)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 感性脳科学 / ウェアラブルコンピューティング / Brain-IS技術 / データマイニング / 個人嗜好・傾向・個人的記憶形成 / 情報分節化 / 時間粒度 / 脳波計測 |
Research Abstract |
近年コンピュータの小型化や携帯電話の多機能化に加え,インターネット上の様々な情報資源にアクセスできるクラウド化に伴い,多くの人が外出する際に電子機器を持ち歩く日常となった.しかし,そのようなデバイスは便利さと同時に,電車内の迷惑行為や運転中の事故誘発など新たな社会問題を生み出している.多種の刺激提示の技術開発も進むが,問題は「人」を理解していない「機械から人へ」の機能提供にある.人の脳が円滑に処理できる情報の量とタイミングを推定できる機構で,ユーザの状況に合わせて情報提示し,分類・記憶・外部参照などの判断の一部を代替して行う能力がデバイスに求められている.本課題では,脳型(Brain-inspired; Brain-IS)技術を統合し,脳身体の状態計測と連動し適応的な知的処理を行う装着型機器の研究開発を行う.多種の刺激提示が人に与える影響が研究される中,本課題では使用者の特性と状況に合わせた支援をBrain-IS技術を元に構成し,その有効性について検証する必要がある.初年度は脳波実計測と連動させるためのリズムベース回路の設計,外部環境からの情報処理と身体・脳情報の把握を行う内外エージェントの二重構造設計を行い,調整作用の実現を検討する予定であった.それらの機能が達成されれば,システムは記憶や選択的注意の脳内機構を中心とする内部エージェントと多量の外部情報を低次元化して構造する外部エージェントの二重構造となり,二者の調整作用でデバイスが自律的にユーザの状況を把握し,適切なタイミングと量で情報提示する「相棒」としての機能を実現できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
脳で観察されるα波,β波,θ波などの様々な脳波と記憶・学習過程との関係について研究を進める連携研究者とともに,脳波計測および乾式(ドライ)電極について共同研究を進める予定であったが,脳波計測技術習得に時間がかかり,この点は次年度課題に変更せざるを得なかった.また,内外エージェント設計についても脳波計測の遅れに伴い計画通り進まず,来年度実施計画していた実環境に設置したセンサネットワークからの人の行動パタン自動抽出法やインタラクション制御手法の研究についての検討を前倒しして連携研究者と分析を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
現在遅れている脳波計測については,本課題研究代表者の研究室に所属する博士後期課程学生が研究課題として取り組み,計測については約3ヶ月間程度,脳波計測を専門とする連携研究者の元で共同研究し,本課題を遂行支援する.また,内外エージェント設計も同様に進め,遅れを回復する.次年度に計画していた内容を前倒しして進めたため,実施計画を年度入れ替えとして遂行することに問題ない.一方,脳波計測と情報処理システム設計,情報提示のデバイス実装についての統合作業については,実装上の問題(デバイスのメモリ不足等)も想定され,ウェアラブルデバイスを想定して研究を進めているが,場合によっては軽量化よりも動作検証に優先度をおいて遂行することで問題解消する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳波計測と情報処理システム設計,情報提示のデバイス実装についての統合作業を進める.前年度に購入したヘッドマウントディスプレイ付属小型コンピュータと連動する脳波測定/解析システムの構築を進め,必要な機材について購入し,装置を完成させる.適宜,脳波計測用消耗品,デバイス開発用電子部品,テスト用データサーバの構築に研究費を運用する.また,外部環境認識のための小型カメラ等についても導入する.
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