2013 Fiscal Year Annual Research Report
空間的色対比効果と色恒常性効果の両者を生成する統一的色覚メカニズムの解明
Project/Area Number |
24650109
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
篠森 敬三 高知工科大学, 工学部, 教授 (60299378)
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Keywords | 色恒常性 / 感性情報学 / 空間的色対比 / 色覚 / 実験系心理学 |
Research Abstract |
本研究は,背景と対象物との空間的色対比効果と人間の色恒常性効果が,実は同一機序によって生成される可能性に着目し,色対比効果は直接的色コントラスト処理による背景の補色方向への色変化でなく,背景色より導かれる仮想照明光の色(=背景色)に対する色恒常性であるという仮説を検証するべく行われた。 平成25年度も引き続き色恒常性の決定要因を調べたところ,色恒常性が低レベル処理である光源に対する光受容体(錐体)順応/錐体信号利得制御により決定される場合と,視野中の情報から照明空間を認識することで照明光を推定し,これより物体表面反射率を推定するという照明推定で決定される場合の両方があることが判明した。 低次順応で決まるならば,空間的色対比と同様の機構でありかつ単純処理されていることを示す一方,照明認識が重要であれば,3次元での色対比では色恒常性効果が限定的になる。色対比効果実験結果は,色対比効果が3次元配置刺激で小さくなり,後者を強く示唆した。 さらに,CGを用いて3次元の部屋を作成し(2次元画像),色光照明とともに,部屋外からの光(夕焼け光)が物体上に照射される光線配置の画像で,色恒常性を測定した結果,外光光線の色そのもので無くCGで窓に描写した外界状況(白昼か夕焼けか)により影響された。これは照明推定が,物体上で物理的に影響する光線色そのものより重要であることを示す。 これらから,2次元色対比効果や通常経験しない特異照明条件では,色コントラストや錐体順応/錐体信号利得制御が主要因となって色対比や色恒常性が決定される一方,3次元配置の色対比効果や,より一般的な色照明条件では,照明推定により色対比や色恒常性が決定されることが示された。さらに,この2種類の決定要因が色対比と色恒常性効果の両方で共通して切り替わることから,少なくても両者が同一機序である場合が存在することが強く示唆される。
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Research Products
(3 results)