2012 Fiscal Year Research-status Report
マルコフ確率場によるベイジアンアドホックネットワークシステム設計理論の創出
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24650115
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 和之 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80217017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 勇治 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90333872)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 確率的情報処理 / 統計的機械学習理論 / マルコフ確率場 / 確率伝播法 / アドホックネットワーク |
Research Abstract |
本計画研究ではベイジアンネットと確率伝搬法にもとづく予測・推論システムを用いたモバイルアドホックネットワーク設計理論の構築を行うことを目的としている.モバイルアドホックネットワークは複数のモバイル端末を中継して通信を行う自律分散型のシステムであり,例えば大規模災害時の通信状況の維持をはじめとして,今後,様々の用途において大きく期待される新しい通信方式のひとつである.しかしながら,自律分散型であるが故にその動作において不確定性が伴われ,統計的手法の導入による信頼性の確保が重要な課題である.平成24年度はマルコフ確率場と確率伝搬法により構成されたベイジアンネットシステムが具体的にモバイルアドホックネットワーク設計において機能する数理構造を解明を進めた.アドホックネットワークににおける画像処理との違いは基本構成要素であるモバイル通信機器がランダムに配置される点にある.そしてこのモバイル通信機器をノードとして各ノード間がすべて相互作用をもつ形を考える必要がある.そこでまず,完全グラフ上の確率モデルに対する確率伝搬法の収束性の確認を行っている.完全グラフ上の確率伝搬法は疎グラフ上のそれに比べて各ノードごとの更新における計算量が大きいため,これを軽減する対策としてノード数が大きいということをもとにして確率伝搬法の更新式を展開し,主要項を抜き出した形に修正した上で,プリグラムの実装を行っている.更に,与えられた完全データからの確率モデルのモデルパラメータの学習を確率伝搬法の範囲で実現する一般化された定式化を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は本計画研究の当初の目的であるマルコフ確率場と確率伝搬法のアドホックネットワークシステムの応用に関する数理的問題点の明確化とその解決の方針を打ち出すことができたため,当初の計画通りにおおむね順調に進展していると判断した.また,その過程で得られたいくつかの確率伝搬法の動作および学習性能に関する新しい知見を複数の学術雑誌に発表した点も,同達成度の自己評価を下した理由としてあげられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は平成24年度に構築した完全グラフ上の確率伝搬法の定式化をもとにアドホックネットワークシステムに対する確率伝搬法の構築を更に推進する.また,マルコフ確率場と確率伝搬法をもとに構築した確率モデルの相転移現象の解析を平行して行う.また,同時に,ベイジアンモバイルアドホックネットワークシステムを具体的な通信システムへの応用に向けての展開をすすめる.この展開は応用範囲を限定しつつ,その目的を明確化しながら,通信機器の動きを考慮するなどの,より複雑な通信環境から生成されたモバイル通信機器の配置という視点において進めてゆく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年6月にハンガリー国ブダペストにおいて「IEEE International Conference on Communications (IEEE ICC2013)」が開催され,特に最終日には「Networking across disciplines: Communication Networks, Complex Systems and Statistical Physics(NETSTAT Workshop)」という表題のWorkshopの開催も予定され,そこでは確率伝搬法の通信システムへの応用の最新の研究成果の報告が行われることになる.当該次年度使用額はこの国際会議に出席し,最新の研究成果に関する情報収集および研究代表者の海外研究協力者であるDavid Saad教授(Aston大学, United Kingdom),Mark Mezard教授(Ecole Normal Superier, France)との討論を通して,本計画研究遂行における助言を受けるための国外旅費として使用する.
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Research Products
(7 results)