2013 Fiscal Year Research-status Report
スパイク結合型神経回路網のカオス同期を用いた動的情報コーディングの研究
Project/Area Number |
24650120
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 明宏 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (60281789)
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Keywords | ニューラルコーディング / カオス同期 / スパイク応答モデル(SRM) / セグメンテーション / バインディング問題 |
Research Abstract |
平成25年度は,カオス的スパイク応答を示す神経細胞モデルの1次元結合系の構築とそのカオス同期の解析,および,画像のセグメンテーションを意図した二次元結合系の構築を行った.1次元結合系としては,スパイクレスポンスモデル(SRM)におけるシナプス結合のカーネル関数を用いて近傍のニューロンと結合するモデルを構築した.具体的には,シナプス結合のカーネル関数を設計し,前年度の研究で構築したカオス的スパイク応答を示すSRMにシナプス結合による近傍ニューロンからの入力を追加した.この結合モデルを用いて,1次元結合系として両側1近傍2ニューロンとの結合系,2次元結合系として周辺1近傍8ニューロンとの結合系を構築した. 1次元結合系の最小モデルとして2体相互結合系について,生成されるスパイク系列の解析を行った.結果として,カオス的応答を示す同一パラメータのニューロンを2体結合した場合について,カオス的応答を保持しつつ2体のニューロンが同期する領域があることをシミュレーションによって示した.スパイク結合系では,Lyapunov指数の定義自体が困難なため,ここでは,スパイク系列の自己相関の指数的な減衰,および,相互相関が一定の位相差のもとで1となることをカオス同期の指標とした.このカオス同期を示す結合パラメータを用いて,50ニューロンの1次元結合系のシミュレーションを行い,複数の局所入力に対して,それぞれ異なるカオス的同期集団が形成可能であることを示した.更に20×20の二次元結合系についても同様に局所入力毎に異なるカオス的同期集団を形成することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,平成25年度中にカオス的スパイク応答を示す神経細胞モデルの二次元結合系を入力画像のセグメンテーションの問題に適用する予定であったが,前年度の遅れの影響のため,本年度は2次元結合系の構築と局所入力に対するカオス的スパイク同期集団の形成と解析までを行った.入力画像のセグメンテーションへの応用については,平成25年度,平成26年度で行う計画であったため平成26年度に予定通り実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに1次元結合モデルおよび2次元結合モデルを構築し,複数の局所入力に対してそれぞれ異なるカオス的スパイク同期集団を構成できることを数値シミュレーションによって示すことができた.しかし,カオス的スパイク同期集団の共存条件については,まだ解析の途中であるため,この解析を継続して行う. 更により現実的な問題でのカオス的スパイク同期集団の応用可能性を検討するために,当初の計画に沿って2次元画像のセグメンテーションの問題に2次元結合系を適用する.現在までに2次元結合モデルの構築ができており,カオス的スパイク同期集団を形成するパラメータ領域が得られている.今後は,スポットや線分,エッジといった画像の構成要素の特徴情報を抽出するネットワークの構築,および,特徴情報を抽出するニューロン間のスパイク結合によるカオス同期応答の解析を中心に研究を進める. 最終的には,スパイク系列のカオス同期を用いた情報コーディングとして,画像中の構成要素の特徴情報に対する神経細胞の選択的応答が,特徴情報が属するオブジェクト毎にスパイク応答の同期集団を生成することで,画像中の構成要素をセグメント化するモデルを構築することを目標とする.
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