2012 Fiscal Year Research-status Report
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24650128
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 俊昭 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (90331967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 仁史(渡辺仁史) 一関工業高等専門学校, 一般教科人文社会系, 教授 (20167159)
大原 理恵 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (70282085)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 情報図書館学 / 日本文学 / 可視化 / マルチメディア電子書籍 / 平安文芸 |
Research Abstract |
本研究は,いわゆる随筆である『枕草子』に書かれた各章段の可視化を目的としている.これは,ストーリー性にとらわれない自由な「書きつけ」という特徴を持った随筆の新しい読み方の提案を行うことである.平成24年度では以下のことを行い,それぞれ成果が得られた. ○『枕草子』可視化カード提示システム(プロトタイプ)の開発:『枕草子』の21章段をサンプルとして1枚ごとにコンピュータ上でカードを作成した.各カードでは,色や写真,平安文様などマルチメディア技術を活用して章段内容や情景を表現した.なお,情景に使用した画像は章段に書かれている場所や景物を具体的に示すものとしてその多くについては京都あるいは京都周辺から資料収集した.カードの配置表現はPC画面のブラウザ上でカードを自由に選択し,内容を見たり,他のカードとの関連性を自由意思で推測できるようにした.また,章段内容をXML形式で記述することにより,キーワードを用いた章段検索やグループ化を容易にした. ○『枕草子』類聚章段の項目分類整理:事物の客観的配列という仮定のもとで『倭名類聚抄』の項目とその比較のために『枕草子』類聚章段の項目を分類整理,解釈した. ○『倭名類聚抄』の電子化:東北大学付属図書館所蔵の『倭名類聚抄』元和三年古活字版の画像電子データ化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」のとおり,当初計画していた通りに研究を遂行できている.特に,『枕草子』の特徴を重視した新しい読み方の提案が行えている.色や映像,音などマルチメディア的要素を加えることで章段に書かれている情景や空間的位置関係,時代背景,他の章段への弱い関連や連想などを『枕草子』になじみのない読み手に対して多角的に提供するシステム作りができている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で開発した『枕草子』可視化カード提示システム(プロトタイプ)で提示する章段カードの枚数を増やす.さらに章段間の弱い関連性についての表現方法を工夫する.これらのことにより,読み手にその関連性や発想の面白さをより気付かせることができ,『枕草子』の面白みや楽しみ方を伝えられるようなシステムに改良することが期待できる. また,平成24年度で画像電子データ化を行った『倭名類聚抄』と『枕草子』の類聚章段の比較ができるようにシステムに機能追加を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
章段カードを増やすことで必要となる,情景等のマルチメディア素材(静止画像,映像,音,挿絵など)収集のために京都あるいは京都周辺での取材を行う.また,研究成果の発表旅費,論文誌への掲載費(現時点で条件付き採録となっている論文1本),研究成果報告書の印刷費に使用する計画である.
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Research Products
(4 results)