2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650128
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 俊昭 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (90331967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 仁史 (渡辺 仁史) 一関工業高等専門学校, 一般教科人文社会系, 教授 (20167159)
大原 理恵 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (70282085)
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Keywords | 枕草子 / 可視化 / カード / マルチメディア技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は,著名な平安時代の随筆作品である『枕草子』の可視化を通して,文学作品の新しい読み進め方の提案を行うことである.具体的には直線的な展開がない『枕草子』の各章段を色や画像などのマルチメディア技術を加えてカードのように可視化し,ハイパーメディアとして表現した.本のような従来のメディアがリニアな構造であるのに対して,ハイパーメディアはノンリニアな構造(グラフ構造)を持ち,ランダムなアクセスを可能にしたものであるため,『枕草子』の特徴をより生かすことができた.このノンリニア構造で『枕草子』を表現し,可視化システムを開発することにより,読者は自由に作品を読み進めることが可能となり,章段に書かれている情景を多角的に提供できた.その結果,『枕草子』に馴染みのない読者に対しても新しい楽しみ方,読み進め方を提案できた. 『枕草子』の表現しようとしたもの,あるいはそれを理解するための知識・背景等を視覚的に表現することには,問題も多い.今回の研究の過程でしばしば指摘を受けたのは,『枕草子』という古典作品について不適切な先入観を与えてしまう危険性である.研究的に読解する読者は,付加された情報や画像の根拠や適切性を自ら吟味することによって,それらからの過度の影響を回避する.高校生程度のユーザを想定する場合は,危険性の回避は作成側で考慮すべきことである.このため,使用する写真画像は,新たに撮影した古典籍の画像(『枕草子』写本・『倭名類聚抄』刊本等)と京都の風景・建築等の画像に限定した.特に今回実際にシステムを評価したのは,東北地方在住の高等専門学校学生であり,京都と東北地方の季節感・風土の差のを考慮することは,研究の過程で当初の想定よりも重要であることが明らかになった.
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Research Products
(3 results)