2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650133
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
森口 佑介 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80546581)
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Keywords | 乳幼児 / 脳情報の利用 / 前頭葉 / 好み / 意思 |
Research Abstract |
本研究は,言語機能が未発達な乳幼児の脳活動を計測し,その脳活動から彼らの好みや考えを読み解くための技術を開発することを目的とした。乳幼児は,言語機能が未発達であり,自らの好みや考え、意思を他者(特に近接性の低い他者)に伝えることが難しい。そこで、様々な対象を提示した際の乳幼児の脳活動を計測・分析することで、彼らの好みや考えを読み解くことができか否かを検討した。研究1年目においては、成人を対象として、好みや考えを推定するために前頭葉の活動が有用であることが確認された。研究2年目の本年は、乳幼児を対象として、好みを推定するために、前頭葉の活動が有用であるか否かを検討した。 まず、先行研究から、ヒトと他の対象を比較した際に、乳幼児がヒトを選好することが繰り返し示されている。これらの研究では、指標として主に乳幼児の視線が用いられていたが、今回前頭葉の活動を指標として、ヒトとそれ以外の対象を提示した際の前頭葉の活動を計測し、それらの活動から区別できるか否かを検討した。具体的には、2-6歳の幼児を対象に、ヒトがボールを運んでいる映像と、ボールだけが動いている映像を提示し、その際の前頭葉の活動を近赤外分光装置を用いて計測した。近赤外分光装置は、近赤外光を頭皮から照射し、血液中のヘモグロビン量の変化を検知する装置である。その結果、5-6歳児において、前頭葉の一部領域において、ヒトの映像を見ているときにのみ有意な賦活が認められた。ボールを見ているときにはそのような活動は認められなかった。 これらの結果は,幼児の前頭葉が,ヒトとその他の物体を明確に区別していることを示している。脳情報から,幼児の考えや好みを理解できる可能性が示唆された。
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