2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋木 潤 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60283470)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 精神集中 / 注意 / 反応時間 / 時系列 / 瞳孔径 |
Research Abstract |
精神集中の主観的指標を探るため、当初計画に沿って、視覚探索課題の中でも試行間の課題難易度の変動が小さいことが知られている特徴探索課題を多数回行い、その反応時間の時系列的変動を調べる実験を予備実験として実施した。100試行のブロックごとにブロックでの主観的集中度評定を行い、集中度評定と視覚探索の成績の関係を見ると、集中度と正答率、反応時間の標準偏差の間に関連が見られた。具体的には、集中度評定が高いほど正答率が高く、反応時間の標準偏差が小さくなったが、反応時間の標準偏差については、誤答試行を除去すると関連は消失することから、正答率の効果の副作用である可能性が示唆された。全体として、反応時間の平均、分散などの要約統計量と主観的集中度の間の関連は弱く、別の解析手法の開発が望まれる。現在、反応時間の時系列に含まれる時間相関に着目して予備的解析を始めている。反応時間の誤差変動は多くの実験で時間的に独立ではなく、時間相関を持つことが知られ、さらに長期的な相関の存在も報告されている。時間相関の構造を分析することにより、集中度との関連を見出すことができるかもしれない。並行して、集中の研究で用いられる経験標本法(ランダムなタイミングで主観的集中度を尋ねる)を実装した実験を開始し、予備実験データを収集している。一方、主観的集中度に対して、集中と関連する生理的指標として瞳孔径に注目し、瞳孔径を指標とした認知実験研究をレビューした。視覚探索課題のような短時間の課題でも瞳孔径を指標とした解析が可能であることが分かったので、現在、瞳孔径計測の実験も準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って、行動課題を作成し、その予備的データと予備的解析を行った。その結果として、単純な要約統計量の不十分さが明らかになり、行動データの時系列の構造を詳細に解析する必要性が明らかになった。また、この過程で先行研究をレビューした結果、時系列の長期的時間相関が脳のシステム的状態の指標となりうることがわかり、この指標を用いた仮説検証的な研究が実施できる見込みが出てきたことは大きな進歩と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、実験系としては当初計画した視覚探索課題の反応時系列の解析を用いるが、それと並行する生理的指標として瞳孔径を用いる。反応時間の時系列と試行ごとの瞳孔径の変動、それとランダムに取得する主観的集中度評定をデータとしてその連関を解析していく。計画時には明確でなかった解析の指針としては、時系列の時間相関、特に長期的な時間相関を時系列のパワースペクトル解析などによる分析に加え、waveletを用いて局所的な時間相関構造を見ることにより、時間相関の局所的な変化と集中度評定、瞳孔径どの関連を検討する。これらの解析がうまく言った場合は、さらに脳波測定も加えて集中度と脳活動の関連についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)