2013 Fiscal Year Annual Research Report
フォルマント抑圧音声を用いた母音の個人性知覚に関する研究
Project/Area Number |
24650137
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 仁 東北工業大学, 工学部, 准教授 (00436164)
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Keywords | 音声知覚 / 話者認識 / フォルマント |
Research Abstract |
音声には音韻・言語的な情報だけでなく、話者の年齢や性別など個人性に関する情報も含まれる。本研究課題では、フォルマントピークを抑圧した刺激を用いた心理物理実験により、この音韻性と個人性の知覚特性の認知科学的な関係を明らかにすることを目指した。 平成24年度は成人300名の音声信号を分析し、音韻と個人性に関わる物理的な特徴量を探索した。その結果、音韻性に関しては比較的単純なスペクトル全体の形状が、既存研究により知られているフォルマントと同等の情報量を持つことが明らかになった。この結果は、過去に研究代表者らが行ったフォルマント抑圧音声を用いた心理物理実験の結果と整合するものである。 一方、話者の個人性に関しては、音響分析からスペクトルの形状と密接に関係する特徴量を特定することはできなかった。そこで平成25年度は、話者の声道長さに対応するスペクトル重心と喉頭特性に対応する基本周波数をパラメータとする刺激を作成し、ABX法を用いた心理物理実験を行った。多数の被験者の応答を分析した結果、スペクトル重心や基本周波数が近い音声ほど同一の話者と知覚されやすいことが明らかになった。これは合成音声を用いた既存研究で得られた知見と整合する結果だが、スペクトル形状が個人性知覚に寄与するという本研究課題の作業仮説を明確に支持するものではなかった。また、この結果から、音声に含まれる音韻性と個人性の関係を明らかにするためには、音声信号から音源情報と声道情報を精度よく分離する手法が必要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)