2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650142
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
本間 元康 昭和大学, 医学部, 心理員 (20434194)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感覚間統合 / 睡眠 / 学習 / 記憶 / 脳波測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己身体知覚は新しい環境に適応するために変化するが,その学習メカニズムは良く分かっていない。本研究は,実験的に自己身体知覚を変化させる錯覚的学習現象に着目し,新しい自己身体知覚がどのように定着するかを検討した。手法として,ターゲット記憶に関連付けられた手がかりを再呈示することで記憶を定着しやすくする方法(Target Memory Reactivation: TMR)を用い,海馬依存の記憶学習を促進することが指摘されている徐波睡眠(slow-wave sleep: SWS)中にTMRを行った。24名の健常者が参加した。覆い隠された参加者の手と目前に置かれたラバーハンドへ同時に触覚刺激を与えると手の位置感覚がラバーハンド側に移動するラバーハンドイリュージョン(RHI)現象のトレーニングを3日連続で行った。RHIトレーニングの前後に,参加者の手の主観的位置感覚を評価させ,前後の差分を錯覚量とした。またRHI中に1秒間隔の触覚刺激と同時に音刺激を提示し,触覚刺激と音刺激を関連付けした。さらにRHIトレーニング後の夜間睡眠中に,RHI中と同じ音(一致条件)もしくは異なる音(不一致条件)を脳波測定で特定したSWS中に提示した。その結果,全ての条件で翌日のRHIトレーニング前の位置感覚はラバーハンド側に移動していた。一方で,不一致条件では翌日のRHIの錯覚量は前日と比べて増加しなかったが,一致条件では翌日のRHIの錯覚量が増加した。これらの結果は,通常の夜間睡眠は位置感覚の学習を促進するが,翌日における錯覚の生成量には影響を与えにくいこと,および関連付けされた音刺激をSWS中に再呈示すると翌日における錯覚の生成量が増加することを示唆する。錯覚的自己身体知覚の学習におけるSWS中のTMR効果は,記憶固定化の促進というよりむしろ,自己身体知覚の変容を柔軟にする役割を担っていると考えられる。
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Research Products
(9 results)