2013 Fiscal Year Research-status Report
固有フィルタ分解として見た「特異スペクトル解析」の新展開と応用
Project/Area Number |
24650150
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
久米 健次 奈良女子大学, 名誉教授 (10107344)
|
Keywords | 時系列解析 / 特異スペクトル解析法 / 完全再構成フィルタ / アダプティブ・フィルタ / 画像分解 / 主成分分析 / クラスター解析 |
Research Abstract |
時系列の解析手法である「特異スペクトル解析法(SSA)」は、線形主成分分析法を時系列の分解に適用したものである。本研究では、SSA法が、完全再構成型のadaptiveフィルターの構成とその時系列への2段階対称作用として新たに解釈可能であることを見出した。このことによって、①フーリエ変換による時系列のスペクトル分解とSSA法の関係が明確になると同時に、②多次元への拡張性が極めて容易になった。③このことから、ノイズを含む2次元の静止画像へのSSA分解を容易に行うことが出来、かつフィルターの対称性の議論など、画像のSSA分解に関する詳細な検討や画像の改善を行うことが出来ることがわかった。 今後は、本研究の基礎となっているSSA法のフィルター解釈に基づいて、時系列の変化点抽出法の改良、グルーピング問題の新手法の開発、さらに非線形主成分分析法に基づく方法への拡張や、signal processingとの関係の研究などを通じて、他のデータ解析手法との融合などの展開を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究は順調に進展している。 1.SSAのフィルタ解釈に関する研究成果は、論文として発表済み。 2.多次元への拡張が容易に可能であることの成果も、論文として発表済み。 3.画像処理への応用については、投稿済み。 当初の研究計画は順調に進んでおり、これらの成果をもとにして、SSA法の枠を超える発展を目指したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進に関しては、2つの方向がある。 1.通常のSSA法の枠内での方法論の展開と具体的な問題への応用。分解したデータ列に対して非類似度を定義し、クラスター分析を行うことや、時系列の変化点抽出法の開発、劣化画像の修復に応用すること、また時系列の将来予測への応用など。 2.SSA法を従来の枠組みを超えて拡張すること。非線形主成分分析法の適用や、離散wavelet分解との関係を視野に、他手法との融合発展を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度については、旅費や消耗品費を節減したこと、さらに理論計算を中心に研究を進めていた時期(年度の後半)に、アルバイト雇用が少なくて済んだことなどから、研究経費の次年度繰越分が生じた。 繰り越し未使用分は、消耗品費等としてコピー紙やトナー等の購入に充当予定である。また、この経費と併せて、次年度は概ね当初計画通りの研究計画に従って、物件費、旅費、人件費・謝金などでの執行を予定しており、当初の計画以上に新しい研究の展開を目指したい。
|