2013 Fiscal Year Research-status Report
高次有効性をもつスムーズなノンパラメトリック推測法の開発
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24650151
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前園 宜彦 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (30173701)
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Keywords | カーネル型推定量 / 順位検定 / 符号検定 / 正規近似 / 高次漸近理論 / ウィルコクソン検定 |
Research Abstract |
本研究では高次有効性を持つスムーズなノンパラメトリック法の開発を行っており、平成25年度は以下の研究成果が得られた。 1.前年度得られたカーネル型分布関数推定量に対する正規近似の精密化をさらに発展させて高度の精密化を具体的に求め、その有効性をシミュレーションで示した。 2.経験分布関数の連続化であるカーネル型分布関数推定量を利用した符号検定の連続化の漸近展開について細かく分類することに成功し、その展開を具体的な形で求めた。求めた成果は3次の漸近理論に相当するもので、初めて得られたものである。 3.符号検定の連続化において、推定に利用するカーネルをうまく選ぶことによって、エッジワース展開の各項が分布に依存しないようにすることができるということを発見した。 4.符号検定の連続化のアイデアを利用し、ウィルコクソンの符号付き順位検定の連続化を提案した。この連続化により、有意確率の離散性の問題が解消し、連続化したウィルコクソン検定統計量がPitmanの漸近相対効率の意味で、元のウィルコクソン検定と同等であることを示した。 5.新たに提案した連続化ウィルコクソン統計量のエッジワース展開を求めることにも成功し、正規近似の精密化を得ることができた。また求めた展開はカーネルをうまく選択することにより、データの従う母集団分布に依存せずに求められることを示した。これにより符号検定の連続化と同様に離散型検定統計量における有意確率の離散性という問題を解消できることが示せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに開発したカーネル型推定量に関連した高次漸近理論の具体的な表現を求めたのは世界に先駆けてのもので、高次漸近信頼区間を与えることを可能にするものになっている。またカーネルの選択により、エッジワース展開がデータの従う母集団分布に依存せずに近似の精度を上げることができるということは、これまでには知られていない結果で、今後この分野の研究に一石を投じるものになることが期待できる。また他の順位統計量の連続化も可能と思われ、それによりクラスカル・ワリス検定、フリードマン検定など近似的にカイ二乗分布に従う統計量の近似分布の改良を得ることが期待できる。このように得られた成果は、研究の目的に鑑みて予想以上の成果が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究はおおむね順調に進展しており、複数の順位検定統計量の連続化を成功させることができた。連続化は多くの順位統計量に適用することが可能で、特にカイ二乗型統計量の連続化を重点的に行い、分散分析に対する新しいノンパラメトリック法の確立が見込める。今年度は、引き続き連続化の研究を行うとともに、2つの連続化検定統計量のコンテギュアスな対立仮説の下での、漸近検出力を求めることを目指し、他の理論的な性質も明らかにしていく。同時に、シミュレーションによりその有効性を検証し、具体的な問題への適用を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度までは主として基礎理論の研究について取り組み、資料収集等と途中成果の発表のための旅費の利用にとどまった。また研究成果を論文の形にまとめることに時間がとられたために、国際会議等での発表が少なく繰越金が発生した。 次年度はこの繰越金と次年度用の交付金を利用して、集中的に国際研究集会や学会において本研究で得られた研究成果の発表を行い、それらのコメントを元にして、推測法の精密化を図っていく予定である。また実際のデータへの適用のためのシミュレーションを積極的に行うためのソフトを購入することにしている。
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Research Products
(6 results)