2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650152
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
水田 智史 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90250589)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 遺伝符号 / コドン進化 / ゲノム配列 / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
遺伝子においては、タンパク質を構成する20種のそれぞれのアミノ酸が3個の塩基の組によって符号化されている。この極めて合理的な符号化パターンは進化の過程において獲得されてきたものに他ならず、生命の初期段階においては1個の塩基、または2個の塩基の組による符号化が行われていたのではないかと考えるのが自然である。実際、バリン,プロリン,トレオニン,アラニン,グリシンの5つのアミノ酸は,コドンの第1-2塩基の組と1対1の対応をもっており、2個組の塩基による符号化の名残であると考えることができる。そういった生命の初期段階の符号化パターンの痕跡を探索し、現在のような符号化パターンが形成されるまでのプロセスを明らかにするための手掛かりを得ようというのが本研究の目的である。 本研究では、次の2つの方法によって痕跡を探索した。まず、マイコプラズマ由来の遺伝子からそれぞれのコドンの第3塩基を削除し、得られた塩基配列をシロイヌナズナのゲノム配列を対象に検索した。次に、2個組のコドンからなる共通の遺伝子を基に合成される複数のアミノ酸配列が有用な機能をもったとし、それらのいくつかが現存している可能性を考えた。そういったアミノ酸配列の間では、先に述べた5つのアミノ酸が共通の位置に出現することになるので、マイコプラズマ由来のタンパク質を検索要求に、UniProt に登録されている全タンパク質を対象にして、それら5つのアミノ酸が共通の位置に出現するタンパク質配列を検索した。 以上の結果、塩基配列の検索から2本、タンパク質配列の検索から3本の候補が得られた。特に、その内の1本は両方の候補に含まれており、最終的な結論を得るためにはさらに詳しく解析を行う必要があるが、生命の初期段階の符号化パターンを示す非常に有力な候補ではないかと考えられる。
|