2012 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質翻訳機構を模したプログラマブルな動的ナノ反応場の創製
Project/Area Number |
24650157
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小宮 健 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20396790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DNAコンピュータ / DNAナノテクノロジー / ナノマシン / ナノ反応場 / ニッキング酵素 / DNAウォーカ |
Research Abstract |
本研究課題で構築する、DNAの塩基配列でプログラムできる人工の動的ナノ反応場において、コドン配列の役割を果たす配列を設計するため、配列がみたすべき要件を明らかにする目的で、DNAとニッキング酵素を用いて動的な反応システムを構築する検討実験を実施した。その結果、適切な配列長や使用する酵素等について、ナノ反応場において反応物を接近させるウォーカの歩行性能を向上させるための知見を得た。 また、本研究課題は、従来手法では実現できない、同一反応容器中で環境低負荷な多段階重合を行う汎用の合成手法の確立を目指している。鋳型とアダプターを結合させる固定子の配列について、複数の配列セットを設計して穏和な条件での検討実験を実施した。ソフトウェアを用いてDNAナノマシン研究と同様に設計した、人工配列を持つDNAをハイブリダイゼーションさせて、「鋳型DNA-固定子DNA複合体」が正しく形成されることや、高い結合特異性と安定性が実現できることを、温度を変化させる条件のもとで行った吸光度の測定や、ハイブリダイゼーションにともなって蛍光修飾基の間で起こる消光の観測、電気泳動などの実験により詳細に確認した。その結果、生理的な溶液条件のもとで高い結合特異性と結合の安定性を実現する新規技術開発の見込みと、そのための配列設計指針を得た。 以上の知見をもとに、最終的に構築する動的ナノ反応場の性能を最大化する配列についての設計と、実験による検証を引き続き進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築する人工の動的ナノ反応場に用いる塩基配列の設計について、実験による検証から適切な配列長などの配列設計指針を得た。特に、鋳型とアダプターを結合させる固定子の配列について、穏和な条件での複合体を正しく形成するための、高い結合特異性と安定性を実現する新規技術開発の見込みを得たことは、当初計画以上の成果である。この新規技術の検討実験に注力したため、鋳型DNA上への反応物の精密な配置については、平成25年度に詳細な検討を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、DNAの塩基配列情報にしたがって機能性分子を産生する生物のタンパク質合成の機構を模して、同一反応容器中で環境低負荷な多段階重合を行い、簡易な操作で高分子を合成する汎用の合成手法の確立を目指している。そのため、今後は当初計画にあるNHSエステル化だけでなく、より環境低負荷な操作で行えるアダプターDNAへの反応物の連結についても検討しながら、最終目的であるプログラマブルな動的ナノ反応場の構築を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、穏和な条件での複合体を正しく形成するための、高い結合特異性と安定性を実現する新規技術の検討実験に注力したため、アダプターDNAへの反応物の連結に用いる試薬類の支出が当初計画より少なくなった。平成25年度はこれらの試薬類を含め、より環境低負荷な連結について検討するための試薬類を購入して実験を遂行するとともに、当初の計画通りDNAウォーカの自律歩行にともなう合成反応の検討実験を実施し、プログラマブルな動的ナノ反応場を創製する。
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Research Products
(5 results)