2012 Fiscal Year Research-status Report
新型走査型プローブ顕微鏡を用いた成長円錐の構造非対称性の証明
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24650162
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
五十嵐 道弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50193173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛木 辰男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40184999)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 成長円錐 / 走査型顕微鏡 / イオン伝導顕微鏡 / 微小管 / 3次元構造 |
Research Abstract |
既に書類に記載した通り、25年度も本研究に必須のSICMが使用可能となったため、さらなる飛躍を期して、一部の経費を留保して研究を継続することとした。24年度の実績は以下のとおりである。 1. 成長円錐の正常形態の静止画像取得と解析:マウス大脳皮質の神経細胞を培養し、その成長円錐をSICMで画像取得した。固定標本においては、20分程度で立体画像を取得することに成功した。成長円錐の立体的な構造を決定しているのが、微小管であることが画像から読み取れた。微小管はかなり成長円錐の末端(いわゆるP領域)まで入り込んでいることが見て取れた。この傾向は、培養後24時間以内ではあまり顕著でなかったが、培養後72時間後にはかなり顕著になった。従って、この時期の画像取得が優先的に進めるべき条件として考えられた。 2. 成長円錐の膜凹凸クラスターの構造:われわれが計画開始時点で観察した膜の3次元的凹凸のクラスターについて、解析を進めたが、やはり72時間程度の培養後に顕著になっていた。成長円錐の全てにあるのではなく、特定の成長円錐に観察できた。成長円錐の片側に集合し、特に微小管との局在関連性が関係していることが示唆された。この結果は、成長円錐内に明らかに非対称性を有することを示唆した。 3. 成長円錐のライブイメージング:ノイズがまだ多いが、基本的にはライブイメージング可能であることが示された。 4. 腫瘍株細胞での成長円錐の静止画像取得:SICMでPC12, NG108細胞を分化誘導後に成長円錐からの画像取得を試み、初代培養との違いを解析開始した。基本的に類似の構造が見られたが、膜凹凸クラスターの出現頻度は少なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実際にはこの1年で取得できた画像は、当初の予想よりもはるかに解像度が高く、かつ予想よりはるかに短時間でスキャンできた。この結果は、次年度に分子レベルでの行うことで、非常に情報量の高い結果を得ることが可能と考えられる。少なくとも静止画像では今後の研究が非常に高水準の結果を得られることを予測できる。但し、リアルタイム画像については、ノイズを下げる努力が、ソフトウェアレベル、及び画像取得条件の設定変更、の2点から必要と考えている。少なくとも、静止画像の鮮明さが本研究の最も重要な点であるため、これをクリアできたことから予想を超える進展と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の研究室で免疫染色を微小管及び膜小胞動態に関係する分子の局在を明確化し、これをSICM画像取得後に分担者の研究室で同様の方法を行い、両者の局在を3次元的に再構成して、当該の非対称性の確認と、その原因となる分子同定を明確にする。24年度に着手したリアルタイム画像取得や、腫瘍株細胞成長円錐の構造を比較し、結論をさらに明確化する。なお成長円錐の形態変化を誘発する条件(疑似シナプス形成、成長円錐退縮)を使って、成長円錐の3次元形態変化をSICM観察することを最終目標に設定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は全体の4割程度の経費を留保しているが、免疫染色の抗体作成経費(その他費目)、特異抗体購入・培養試薬の購入などの物品費、成果発表のための国内・国外学会の発表旅費、論文作成のための英文校閲(その他費目)で計上し、効率的に研究を進める。
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Research Products
(6 results)