2012 Fiscal Year Research-status Report
分子のキラリティが生み出す神経系の非対称性:メカニズム解明と分子工学的制御
Project/Area Number |
24650163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
玉田 篤史 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (60270576)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | フィロポディア |
Research Abstract |
神経系は構造的にほぼ左右対称であるとされるが、ヒトで言語中枢が左半球優位であるなど機能的には非対称である。申請者は「神経系の非対称性の根源が分子のキラリティにある」との新規概念を提唱する。本研究では、「アクチンフィラメントの右巻き二重らせん構造とミオシンVモーターのキラルな分子構造が、アクトミオシン系の左らせん運動を発生させ、それが成長円錐フィロポディアの右ねじ回転運動を駆動し、それが神経突起の右旋回運動を発生させる」という仮説を立てて検証する。さらに、分子のキラリティを改変し非対称性を制御することに挑戦する。本研究は、分子構造のキラリティが細胞レベルでの非対称性として創発する機構を明らかにし、最終的には回路レベル・高次機能レベルの左右非対称性の形成機構解明につなげるものである。 本年度の研究では、まず、ミオシンVの分子構造の改変を目的として、ネックドメインに様々なアミノ酸配列を挿入した分子を作成した。次に、それらの改変分子を神経細胞に発現させて成長円錐の運動特性に与える影響を解析する手法を確立した。具体的には、脳組織より取り出した初代神経細胞に改変分子を遺伝子導入し、コラーゲンゲル内で培養し、タイムラプスイメージング装置で成長円錐の画像を取得し、そこからフィロポディアの運動パラメーターを抽出して、運動解析を行うというものである。今後、この手法を用いて分子構造と運動特性の因果関係について詳細に明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミオシンの分子改変と神経細胞のタイムラプスイメージングの手法が確立しつつあるため
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、ミオシン分子を改変する手法および成長円錐の運動特性を解析する手法を確立できたので、次年度はこれらの手法を用いて、多種多様の改変ミオシン分子を作成し、改変分子を発現したときに生じる成長円錐の運動特性の変化を網羅的に解析する。これにより、ミオシンの分子構造と成長円錐の運動特性の関係性について詳細に明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は主に実験手法の確立に努めてきたため、予算使用額が当初予想したほどには至らなかった。次年度はこれまでに確立した手法を用いて、網羅的、大規模に実験を展開する。本年度から繰り越しした費用はこれらの実験で使用する消耗品費等に充当する予定である。
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