2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質で最も早く生まれるニューロン群の起源、発生様式と運命
Project/Area Number |
24650166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Keywords | 大脳皮質 / 発生様式 / 興奮性細胞 / 子宮内電気穿孔 |
Research Abstract |
大脳皮質は我々の精神活動を司る脳の最高位の中枢である。大脳皮質構成する神経細胞は一層からなる神経上皮(NE)から発生するが、近年発生様式の理解が大きく進展した。即ち、NE細胞の分裂増殖に続き、その後その非対称分裂により神経細胞(N)またはbasal progenitor (BP)が生じ、さらにそれ自身又はBPの対称分裂によってもNが生ずるというものである。しかしながら、この考えは主に胎生12.5日目頃のマウスの皮質を出発点として行われた研究によるものであり、さらに早期に神経細胞の産生を示す知見があるにも関わらず、その起源、分裂様式、移動や運命に関する研究は殆ど存在しない。これは主に技術的限界によるものであると思われるが、本研究ではこれを克服して胎生10.5日目まで遡り、NE細胞からの神経細胞の産生とその運命に迫ることを目指した。 本研究ではマウス大脳皮質をモデルに、子宮内電気穿孔法を用いた実験系を作り上げた。皮質に最初に生まれる神経細胞であるサブプレート(SP)ニューロン産生開始時期の胎生10.5日目において皮質原基脳室帯に存在する神経前駆細胞に蛍光タンパクを発現するプラスミドベクターを遺伝子導入した。もしSPニューロンが産生されるならば、この方法で標識出来ると考えた。遺伝子導入後、様々な解析時期において標識細胞が過去に報告されているSPニューロンの特徴を持つことを明らかにした。その結果、皮質原基脳室帯からSPニューロンが産生されているという直接的な証拠を得る事が出来た。さらに、導入するプラスミドとしてtraonsposaseをコードしゲノムに導入蛍光遺伝子を組み込むことが出来るものを用いたところ、皮質の全層の神経細胞を標識することが出来た。この結果は、SPニューロンを産生する前駆細胞がその他の神経細胞の産生にも関与している可能性を示唆する。
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Research Products
(7 results)