2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650175
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤本 聡志 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 研究員 (50586592)
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Keywords | 神経回路形成 |
Research Abstract |
神経回路は神経細胞同士のシナプス接続特異性によりそれぞれの機能を持つことができる。神経回路をシナプス接続特異的に可視化することに加え、回路特異的に遺伝子を操作することができれば、解剖学的な神経回路研究に遺伝子改変技術を組み合わせた新たなる機能的なアプローチを行うことができると考え、本研究では、HIV由来の膜透過ペプチドTATとCre-loxPシステムを用いて新奇のトランスシナプス遺伝子改変技術の作出を試みた。 前年度に作成したシグナルペプチドおよび糖鎖付加シグナルを付与したTAT-Creに加えて新たに神経栄養因子BDNFの前駆体に存在するシグナルペプチドおよび糖鎖付加シグナルをクローニングし、TAT-Creとの融合タンパク質を作成した。 また、前年度に子宮内エレクトロポレーション法を用いて、mT/mGマウスの片側の大脳皮質2、3層に遺伝子導入を行い、交連神経が反対側へ投射する先でのシナプス透過性の確認を行うことを試みたが、mT/mGマウスのGFP蛍光が観察困難であったため、適切な評価を行うことができなかった。そこでmT/mGマウスに代わりCre依存的にtdTomatoを発現するAi9マウスを用いて同様の実験を行った。Ai9マウスのtdTomatoは観察に十分な蛍光強度を持っており、実際にtat-Creを直接遺伝子導入した細胞でtdTomato蛍光を確認したが、いずれのTAT-Cre融合タンパク質の場合も、反対側の神経細胞でのtat-Creのシナプス透過を介したtdTomatoの発現は観察されなかった。 引き続き、神経細胞の極性を持った細胞内輸送やエンドサイトーシス、エクソサイトーシス機構、シナプス末端で高効率に放出されるような小胞内に局在する仕組みを利用したタンパク質の設計について検討を行う必要がある。
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