2014 Fiscal Year Annual Research Report
母親の高脂肪食摂取が胎児の神経発生と行動に及ぼす影響:発達障害のモデルとして
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24650180
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 眞利子 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80192409)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高脂肪食 / オレイン酸 / 自発運動量 / 神経分化 / オレキシン / エピジェネティクス / Hippoシグナル / 超音波発声 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、マウスの妊娠期高脂肪食摂取が仔の自発運動量の増加を引き起こすことを明らかにし、また各種脂肪酸の中でも一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸の過剰摂取が自発運動量の増加に働くことを報告した。さらに妊娠6日目から出産まで高脂肪餌を与えた場合と、妊娠6日目から14日目まで高脂肪餌を与えた場合を比較すると、後者の方が自発運動量の増加が著しかったことから、妊娠中期の栄養環境が重要であると思われる。今年度は、オレイン酸を豊富に含むオリーブ油を添加した高脂肪餌を妊娠中期に与えたところ、仔マウス21匹中10匹(48%)において自発運動量が著明に増加した。 ラードによる50%高脂肪餌を与えた母親マウスから妊娠14.5日の胎児を取り出し、神経新生亢進の有無について検討すると、大脳皮質においてTbr2陽性細胞の増加が認められた。ウェスタンブロット法により、HFD群の胎仔大脳皮質においてヒストンH3タンパク質のアセチル化が亢進していることがわかった。RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、HFD群においてはHippoシグナル関連遺伝子の発現に変化が認められた。ウェスタンブロット法によりHippoシグナルの中心的役割を担うYAP1のリン酸化の亢進が認められ、Hippoシグナルが不活性化されていることが分かった。HFDによる神経新生の亢進に、ヒストンアセチル化によるエピジェネティクス修飾だけでなく、Hippoシグナル伝達系の不活性化も関与することがわかった。 さらに、母仔分離による超音波発声(USV)の解析により、マウスの高次脳機能について検討したところ、HFD群ではharmonicsに分類される複雑な波形が多く認められ、メスよりもオスでより顕著であった。
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