2013 Fiscal Year Research-status Report
蛍光1分子イメージングによるプリオン蛋白重合度の解析
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24650186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40221098)
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Keywords | 脳神経疾患 / プリオン病 / 病理学 / 蛋白重合度 / 検出技術 |
Research Abstract |
プリオン蛋白の重合度はプリオン病の病理メカニズムと密接な関連がある。そこでプリオン感染細胞溶解液中のPrPの重合状態を、全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)を用いて分子レベルで調べた。マウス神経芽腫細胞株N2aにプリオン(福岡1株)を持続感染した細胞から得た未精製の細胞溶解液を分子サイズに準じてゲルろ過スピンカラムで分画した。オリゴマーが多く含まれる分画とモノマーが多く含まれる分画の両方を、蛍光色素でラベルした抗PrP抗体(mAb SAF70とmAb 8G8)と反応させた。その結果、様々な輝度の蛍光輝点が検出され、明るい輝点は、異常型PrPでは特異的epitopeが埋没していると考えられているmAb 8G8 よりも、mAb SAF70を用いてオリゴマー分画を反応させた条件で多く見られた。この結果はPrPオリゴマーが適切に検出され、異常型PrP分子の構造変化を観察できたことを示唆している。全反射蛍光顕微鏡によるイメージングはPrPオリゴマーの重合状態と高次構造の特性の判定に役立つ事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光色素1分子検出技術を用いてプリオン蛋白の重合度を評価する方法を確立するためにサンプル調整から抗体反応、全反射蛍光顕微鏡における輝度評価までの一連の実験を繰り返し、再現性を高めた。異常プリオン蛋白では埋没して認識されないエピトープを検出する8G8抗体を用いた結果と正常型と異常型の両方のプリオン蛋白質を認識できるSAF70抗体で得られた結果とを比較する事によって、プリオン蛋白の重合度と構造変化の状況を判定できる事が示された。以上の成果を論文にまとめ発表した(Shibano S et al. Detection of prion protein oligomers by single molecule fluorescence imaging. Neuropathology 33:1-6, 2013)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果で、プリオン蛋白の重合度を評価する方法として、ゲルろ過スピンカラムで分画してwestern blottingで検出する方法と蛍光色素1分子検出技術を用いてプリオン蛋白の重合度を直接観察する方法を確立した。後者は個々の分子の重合度を判定できるが、より多くの分子の重合度異常を定量的に評価できるという点で前者が優れている。本年度はヒト剖検脳サンプルに応用してプリオン蛋白の重合度から見た病型解析に応用する。さらにプリオン病の治療候補化合物による重合度への影響を評価する。検討するプリオン病治療候補薬剤としてペントサンポリ硫酸とアミロイド親和性化合物であるCongo redをプリオン持続感染株に投与し、蛋白重合度の変化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
保存期間に制限がある抗体製剤を次年度に購入する為。 各種抗プリオン抗体および2次抗体の購入に充てる。
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Research Products
(3 results)