2012 Fiscal Year Research-status Report
DJ-1結合化合物による神経変性疾患根本的治療薬の開発
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24650191
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有賀 早苗 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90184283)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 神経細胞死 / 酸化ストレス / 癌遺伝子 / 創薬 |
Research Abstract |
DJ-1結合化合物の改変:現在までにリード化合物として得ているDJ-1結合化合物B, 化合物23の基本骨格を保持して側鎖部の改変を試みた。in silicoスクリーニングで用いた富士通バイオサーバーを用いてin silico改変し合成し、薬理活性について、ヒトドパミン神経細胞SH-SY5Y、DJ-1ノックアウトマウス由来神経細胞を用い、酸化ストレス付加時の細胞死抑制能をMTTアッセイ、レドックス関連遺伝子のマスター転写因子であるNrf2活性をルシフェラーゼを使ったレポーターアッセイで検討した。DJ-1特異的結合化合物はいずれもDJ-1の106位システインの過剰酸化を防ぎ、PTENを介したシグナル伝達経路におけるDJ-1制御作用を酸化ストレス下でも保持することで酸化ストレス応答遺伝子群のNrf転写制御系に作用することを見出した。また、酸化ストレスから神経細胞を保護する機能を持つタンパク質の一つであり、パーキンソン病患者では発現が報告されている小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)とDJ-1が直接結合することを見出した(Ishikawa et al. BBRC, 2012)。VMAT2との結合がDJ-1酸化度依存的であるか、C106結合化合物の影響を含めて検討中である。 またDJ-1結合化合物の定量的アッセイ系として、スクリーニング用に、精製DJ-1を96穴プレートに敷き、14C標識化合物B反応後、対象化合物を添加して競合的に遊離する14C標識化合物Bを測定する系の構築を目指し、様々な条件を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DJ-1結合化合物の改変、培養細胞における薬理活性検証に係る研究は概ね計画通りに進行し目的を達成しているが、結合化合物のDJ-1 に対する結合活性を、従来の水晶発振バランスを用いた系に加え、Biacore等の表面プラズマを用いた機器、結合による発生エネルギーを測るカロリーメーターで測定する作業は、実験に用いるDJ-1の酸化度をコントロールすることが難しく、思うようにはかどらなかった。また、DJ-1結合化合物とDJ-1との共X線結晶構造解析も、化合物の析出、DJ-1のダイマー形成保持、およびDJ-1の酸化度コントロール等の点で計画通りには進行しなかった。何より、平成25年度以降の本研究課題助成金による研究継続を辞退させていただく状況に陥り、モチベーションが大きく損なわれたが、別途研究費を得る努力をして高齢化社会のQOL向上のために役立つ研究となるよう展開を図っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の本研究課題助成金による研究継続を辞退させていただきました。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度以降の本研究課題助成金による研究継続を辞退させていただきました。
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Research Products
(11 results)