2012 Fiscal Year Research-status Report
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24650195
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
コンディショナルノックアウトマウスを用いた脳機能解析においては、使用するCreやtTA等の発現マウス(ドライバーマウス)の発現時期や細胞種の特異性が、研究の質を決める最も重要な要素となる。本研究の目的は、新規マルチタスクカセットを開発し、内在性遺伝子発現に影響を及ぼすことなく特定の細胞特異的にドライバー遺伝子を発現できるマウスを作製することである。 作製したマルチタスクカセットは少なくとも培養細胞での発現系では予想通り機能することが確認できた。そこで、実際にノックインマウスを作製するためターゲティングベクターを構築した。標的となる駆動プロモーター遺伝子としては、抑制性神経細胞に強く発現するが脳神経系における機能的重要性が明らかとなっていないAbat遺伝子を選択した。ターゲティングベクターをES細胞へ導入し、得られた相同組換え体からAbat-iCreノックインマウスを樹立することができた。現在は、マウス生体内でマルチタスクカセットが予想通り機能することを確認するために、rtTA発現マウス、FLP発現マウスとの交配を始めところである。また、ホモマウスはAbatノックアウトマウスとなることが期待されるので、ノックアウトマウス作出のための交配も始めている。さらに他の駆動プロモーター遺伝子としてRgs14遺伝子、S100b遺伝子を選択し、tTAノックインマウスの作製に着手している。 本研究で開発されるシステムを用いることで、一系統のマウスを多数の目的に利用できることから、マウス作製にかかる労力、経費に対する効果が飛躍的に向上することが期待され、これまで一長一短のあった従来法を選択せず、欠点の存在しないシステムによりドライバーマウスを作製できる意義は研究者にとって極めて大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
汎用型iCreノックインカセットの構築、そのカセットを用いたターゲティングベクターの構築、ノックインマウスの作出を平成24年度の研究実施計画としていた。 汎用型カセットについてはiCreカセットに加え、次年度の計画中にあったrtTA、tTAカセットについても作製した。さらにこのカセットの設計上、ネオマイシン耐性遺伝子の除去ができないという欠点についても、近年報告のあったDre-rox組換え系を適用して除去が可能となるように改良した。また、iCreカセットを用いてAbat遺伝子を標的とした1系統のノックインマウスを樹立し、さらに2系統のtTAマウス作製にも着手している。 以上のことから、平成24年度中の計画以上に研究は進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Abat-iCreノックインマウスについては、Cre活性をCre抗体とレポーターマウスにより検証し、駆動プロモーター遺伝子の発現量を免疫組織化学及びイムノブロットにより定量的に検証する。また、tTA等の発現マウスを作製または入手し交配することでドライバー遺伝子の発現制御が可能か検証する。 Abat遺伝子は抑制性神経伝達物質であるGABAの分解に関与し、自閉症に関連する遺伝子であることが報告されているが、生体内における機能的重要性は余り検証されておらず、現在までにノックアウトマウス作製の報告も無い。この汎用型カセットのもう一つの特性である、駆動プロモーター遺伝子自体を解析対象とするために、Abat遺伝子のノックアウト、過剰発現、コンディショナルな発現抑制を行うことで、生理機能解析を行う。 さらに、ある種のグリア細胞や神経核に選択的に発現する遺伝子を選択し、Abatと同様にiCreノックインマウスを作製して検証する。また、構築した汎用型ノックインカセットを用いてtTA, rtTAについても、重要性の高いものからノックインマウスを作製し、新ノックイン法の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行するにあたり、次のような研究費の使用を計画した。 新規遺伝子改変マウス作製のためのベクター構築に必要な分子生物学の試薬類、ES細胞培養、遺伝子改変したES細胞のスクリーニング、キメラマウス作製にかかる培地及び試薬を物品費に計上した。また、すでに樹立したマウスの飼育にかかる飼料費や床敷きなどの消耗品類を物品費として計上した。さらに、マウスの微生物検査を外部委託しておこなうのでその経費をその他に計上した。 旅費は、成果発表のために学会出席を計画しておりその経費である。
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