2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650195
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Keywords | ノックアウトマウス / Cre/loxP |
Research Abstract |
コンディショナルノックアウト(KO)マウスを用いた脳機能解析においては、使用するCreやtTA等を発現するマウス(ドライバーマウス)の発現特異性が研究の質を決める最も重要な要素となる。本研究の目的は、新規マルチタスクカセットを開発し、内在性遺伝子発現に影響を及ぼすことなく特定の細胞選択的にドライバー遺伝子を発現できるマウスを作製することである。 作製したマルチタスクカセットは培養細胞での発現系で予想通り機能することが確認できたので、実際にそのカセットを組み込んだノックイン(KI)マウスを作製した。標的の駆動プロモーター遺伝子として、抑制性神経細胞に強く発現するが脳神経系における機能的重要性が明らかとなっていないAbat遺伝子を選択した。カセットの特異性から、最初このKIマウスはAbatヘテロKOマウスとなる。そこで、このマウスについて幾つかの予備的な行動解析を行ったところ、自閉的傾向を示す解析結果が得られたので、現在さらに詳細な解析を行っている。また、現時点でヘテロKOマウス同士の交配よりホモのKOマウスが得られていないことから、Abat KOマウスは致死である可能性が高く、この点についても引き続き解析を行っている。さらに、マウス生体内でマルチタスクカセットが予想通り機能し、駆動プロモーターから期待される細胞種選択的iCre発現マウスとなっていることと、Abat遺伝子過剰発現マウス、Abat遺伝子発現抑制マウスとなることを確認するため、レポーターマウスや細胞種選択的tTA発現マウス等との交配を進めている。 本研究で開発されたシステムを用いることで、一系統のマウスを多数の目的に利用できることから、マウス作製にかかる労力、経費に対する効果が飛躍的に向上することが期待され、これまで一長一短のあった従来法を選択せずドライバーマウスを作製できる意義は研究者にとって極めて大きい。
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