2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650203
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古谷 祐詞 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (80432285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中條 浩一 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教 (80390699)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 赤外分光法 / イオンチャネル / 生物物理学 / 分子科学 / 振動分光法 |
Research Abstract |
本研究は主に以下の2つの研究項目からなる。(1)哺乳動物イオンチャネルの蛋白質発現系構築、(2)全反射赤外差分光計測によるイオン結合誘起赤外差スペクトル計測 平成24年度は哺乳動物由来のイオンチャネルの全反射赤外分光法によるイオン-タンパク質間相互作用の解析を目指して、哺乳培養細胞でのイオンチャネル蛋白質の試料調製を試みた。様々なカリウムチャネルとGFPとの融合タンパク質のコンストラクトを作成し、ゲル濾過クロマトグラフィーと蛍光検出を組みあせたFSEC解析を行った。その結果、いくつかのコンストラクトで良好な結果が得られた。 FSEC解析の結果、機能的な発現が良好と認められるカリウムチャネルに対して、Hisタグを結合したコンストラクトを作成し、タンパク質の大量発現を行った。界面活性剤で抽出した後に、リン脂質と混合し、透析を行うことでリポソームに再構成した。このような試料に対して、全反射赤外分光解析を行い、2種類の緩衝液(一方はカリウムイオンのみを含む、他方はナトリウムイオンのみを含む)存在下で計測した赤外吸収スペクトルの差分を解析した。その結果、細菌由来のカリウムチャネルであるKcsAと似た赤外差スペクトルが確認できた。カリウムチャネルに特徴的なイオン選択フィルターに由来するシグナルであるものと推察される。 また、前述のKcsAの赤外分光解析の結果については論文発表を行った(Y. Furutani et al., J. Phys. Chem. Lett. 3, 3806-10, 2012)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳動物由来のカリウムイオンチャネルのタンパク質発現と精製に成功した。さらに、予備的ではあるがイオン結合誘起赤外差スペクトル計測にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
良好な結果が得られているカリウムイオンチャネルに対して、さらに赤外分光解析を進める。様々なカリウムイオン濃度での計測を行うことで、タンパク質-イオン間の相互作用の強さを解離定数から議論する。また、変異体を作成し、得られた信号の帰属を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カリウムチャネルのタンパク質試料調製用の試薬やガラス器具等の消耗品の購入に充てる。また、分担者の中條は電気生理実験や蛍光観察実験などに必要となる試薬や光学部品などの購入に充てる。
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Research Products
(9 results)