2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650205
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
藤田 雅代 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (90415539)
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Keywords | ドーパミン / マウス / 運動 |
Research Abstract |
ドーパミンは、運動の制御に重要な役割を果たしていることが知られている。特に、パーキンソン病などに代表されるように、ドーパミンが減少すると、無動、寡動などの運動障害が起きるため、ドーパミンが減少すると運動が行えなくなると考えられていた。ところが、先行研究にて、ドーパミン欠乏マウスを用い、Lドーパ投与中止72時間後のドーパミンが完全に欠乏した状態での運動量を解析したところ、予想に反し運動量が亢進するという結果を見出した。このことは、運動自体はドーパミン非依存的に行えることを示すと考えられる。 ドーパミン欠乏時の運動量亢進がどのようなメカニズムによって引き起こされるのかを検討したところ、平成24年度中の解析により、ドーパミン欠乏により、線条体のコリンアセチルトランスフェラーゼがタンパクレベル、mRNAレベルで減少し、それに伴いアセチルコリン濃度が減少することを見出した。25年度はこの成果をまとめ、現在学術雑誌に論文投稿中である。 当初、25年度には、ドーパミンが欠乏することにより、なぜアセチルコリンが減少するか、そのメカニズムについてさらに考察を深めるための解析を行う予定であった。さらに、ドーパミンが脳のどの部位に発現するどの受容体サブタイプを介して運動を制御するかに関しても検討を行う計画を立てていた。しかし、研究代表者が25年4月より約1年間の産前産後休暇および育児休業を取得したために、その期間研究が中断し、予定していた解析を行うことができなかった。このような事情から、本来24年度、25年度の2年間の研究計画であったが、26年度まで研究計画を延長し、25年度に実施予定であった計画を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、25年4月23日より産前産後休暇を取得し、一時研究を中断した。その後、早めの復帰を望んだが、様々な事情より、26年4月まで職場復帰できず、研究中断期間が約1年となったため、25年度中に予定していた研究がほとんど実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、25年度に実施予定であった解析を行っていく。 まず、ドーパミン欠乏時にどのような運動が可能か、さらに詳細に検討する。具体的には、ホームケージでの行動を観察し、自発的な運動が可能なのか、動き始めた際に制御がうまくいかないために結果として運動量が亢進するのか、検討する。また、Lドーパ投与中止72時間と比較し、24時間後では運動量が顕著に低下していることから、まだごくわずかに残存しているドーパミンが運動抑制に関わる可能性もある。したがって、Lドーパおよび各種ドーパミン受容体アゴニストをドーパミン欠乏マウスの腹腔、あるいは脳部位別に投与し、脳のどの部位の、どのドーパミン受容体サブタイプを介したシグナルが、どのように運動を制御しているか、検討する。 さらに、ドーパミンの欠乏によるアセチルコリン減少の機序を検討する。これまでの免疫組織化学の結果より、ドーパミン欠乏マウスではアセチルコリン陽性細胞が減少していることを認めていることから、アセチルコリン陽性細胞にどのようにドーパミンが作用することでアセチルコリン産生を促すのか、あるいは、ドーパミンが欠乏することによりアセチルコリン陽性細胞が細胞死を引き起こして細胞数が減少するのか、両方の可能性を考えて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は、4月からの産休、育休による研究中断があったため、研究費の使用があまりなく、ほとんどが次年度への繰り越しとなった。 平成26年度の研究費は、平成25年度当初の計画と同様に、主にマウスの維持、各種ドーパミン受容体アゴニスト類に使用する計画である。生体への投与であるため、かなり多くの量が必要と見込まれる。したがって、研究費を有効に活用して十分量の試薬を確保し、実験を遂行する予定である。さらに、引き続き免疫組織化学的検討も必要となると考えられるため、必要な抗体類、消耗品類を購入する費用に充てる予定である。そして、成果を学会で発表するための学会参加費、旅費としても用いる予定である。
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