2012 Fiscal Year Research-status Report
放射線定位照射を利用した脳疾患モデル作成の基盤技術
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24650206
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 真樹 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90301887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 正純 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80314772)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線定位照射 / 脳機能 / 霊長類 / 神経心理 / 眼球運動 |
Research Abstract |
脳の損傷例を対象にした神経心理学研究や、脳の一部を可逆的・不可逆的に障害した実験動物の行動解析は、脳の機能を知るための最も基本的かつ重要な研究手法である。しかし、臨床的にみられるような数ミリ~数センチメートルにおよぶ比較的広範な障害を脳深部に作成することは技術的に困難である。本研究では、がんの治療に用いられているX線定位照射装置(リニアック)を利用して、ヒトと相同の脳をもつマカクザルの脳の特定部位に破壊巣を作成することを試みる。この技術は脳機能を探るツールになるばかりでなく、将来的には脳深部刺激に代わる、侵襲の少ない機能的定位脳手術としての臨床応用につながる可能性も秘めている。 今年度は、これまで生理学実験に使用していた2頭のサルにのべ3回の照射を行った。本研究の目的は、正常の脳組織に対する放射線定位照射の影響を評価することであるため、障害効果を判断しやすい前頭眼野を中心とした外側前頭連合野への照射を行った。照射に関しては、共同研究者である医学物理学分野の石川教授、宮本助教にお願いした。ファントムをCTとMRIで撮像して位置ずれを補正し、サルのMRI像から照射計画を立てた。一頭目のサルへの一回目の照射(130Gy)では、照射後に一過性の浮腫と眼球運動課題でのパフォーマンス低下を認めたが、数週の経過で回復した。一頭目は照射前の時点でパフォーマンスの状態が良くなかったため、二頭目の照射(150Gy)を行った。また、一頭目に関しては、約3か月後に2回目の照射(150Gy)を行った。いずれも、照射後にMRI上で照射部位に著明な浮腫を認め、視覚誘導性サッカードの潜時延長と滑動性追跡眼球運動のゲイン低下を認めたが、軽度であった。記憶誘導性サッカードのパフォーマンスがより影響を受けてたが、数週間の経過でほぼ正常レベルとなった。今後、壊死に伴う変化を計時的に追っていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として計画通り、おおむね順調に研究が進展している。初年度に照射を行うことができたことは大きな一歩だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1頭目はこれまで様々な実験に用いてきた個体であり、比較的早い段階で処分し、組織学的検索を行いたい。これに先立ち、3頭目の準備をH25年度早期に開始する。行動課題としては、前2頭と同様に、視覚誘導性サッカード、記憶誘導性サッカード、滑動性追跡眼球運動を予定している。この個体と、すでに照射を行った2頭目の行動観察を長期にわたって継続して行う。予想していたよりも障害への効果が少なく、また、壊死に至るまで数か月から年の単位の時間がかかることが分かったため、時間をかけて進める必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に購入した下記物品の支払いに充てる デジタルパルスカウンター 26,250円 マルチメディアスピーカー 3,848円 合計 30,098円
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