2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 高志 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (80443480)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心筋 / iPS細胞(人工多能性幹細胞) |
Research Abstract |
ヒトiPS細胞のオンフィーダー培養、フィーダーレス培養に成功した。さらにWntシグナル制御因子を用いて、ヒト心筋細胞への分化誘導を行った。フィーダーレス培養したヒトiPS細胞に3日間WNTシグナル阻害剤であるCHIRとBIOを加え、その後1週間KY02111とXAV939を加えて培養した。細胞の分化は、ヒトβミオシン抗体と心筋トロポニンT抗体を用いた免疫染色によって確認し、約85%の心筋分化誘導が行われていることがわかった。また、同抗体を用いたイムノブロットにより、WNTシグナル阻害剤を加えた1週間以降から、次第にサルコメアタンパク質の発現が増加しているのが確認された。さらに分化誘導した細胞に対して、アデノウイルスベクターを用いたGFP-ヒトアクチニン遺伝子導入によって、Z線の可視化を行った。蛍光顕微鏡観察により、細胞内の横紋構造の様子と自発収縮が確認できた。今後は自励振動(SPOC)の観察を行い、ラット心筋初代培養細胞との比較検討を行う。 心筋症変異を導入したミオシンやアクチンの発現系を作成するため、それらの遺伝子をコードしたアデノウイルスを作成した。これらの心筋タンパク質は、大腸菌や昆虫細胞、非筋細胞では著しく発現が制限されるため、遺伝子発現にはマウス筋芽細胞(C2C12)を筋管細胞に分化させたものを使用する。そこでC2C12細胞の培養および筋管細胞への分化を効率的に行える低血清培地の開発を行うことで、タンパク発現コストの削減を試みた。その結果、血清を筋肉加水分解物であるPeptone Primatone RL(Sigma-Aldrich)に置き換えることで、筋管細胞への分化を低コスト、高効率に行えることがわかった。今後はこれらの発現系を使って、心筋症変異タンパク質の作成を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化実験は順調に進展している、今年度の予定としてSPOC解析を行う予定だったが、心筋症変異タンパク質の発現系の開発と平行して行ったため、来年度に持ち越すこととなった。マウス筋管細胞とアデノウイルスを変異タンパク質の発現系も確立しており、筋肉加水分解物の使用によって分化速度の向上と低コスト化を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を用い、SPOC解析を行う。さらに心筋症変異遺伝子の導入を行い、SPOCのパラメータがどのように変化するのかを確認する。さらに心筋症変位タンパク質の発現精製、機能解析を行い、変異タンパク質の性質が心筋に与える影響(収縮やSPOCについて)を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一般試薬、細胞培養試薬、細胞培養用資材等の消耗品に使用する。
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Research Products
(2 results)