2014 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン暴露で誘導されるサルの行動異常の検討―サル統合失調症モデル作出の試み
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24650215
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70243110)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コモンマーモセット / アカゲザル / EGF / 認知機能障害 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの精神疾患の原因のひとつとして、胎児や新生児期における末梢の神経栄養活性を有する炎症性サイトカイン誘導が考えられている。新生児期におけるサイトカイン暴露が引き起こす異常行動を定量的に評価し、健常個体と比較した。具体的には、コモンマーモセットの新生児を対象として、上皮成長因子(EGF)を実験個体に生理食塩水を同腹子の対照個体に0.3 mg/kg, 0.1 mlを1日1回、10日間投与した。その後、1.加速時計を用いて活動量を定量化し異常性を統計的に検討した、2.眼球運動をビデオ記録解析し健常個体と比較した、3.認知課題の成績を健常個体と比較した、4.一般的な行動を6カ月おきにビデオ撮影し健常個体と比較した。同様の実験をアカゲザルでも実施した。新生児コモンマーモセットは4頭に、新生児アカゲザルは3頭にEGFを投与した。これまでに、コモンマーモセット1頭とアカゲザル1頭で異常行動が確認できた。アカゲザルは十分なデータが取得できていないが、コモンマーモセットに関しては、同腹子と比べ1.活動量が顕著に増加し、2.眼球運動の異常が確認され、3.通常の図形弁別課題には有意な差が見られなかったが、逆転学習課題の成績が顕著に悪くなることが示された。その他、食欲や体重には大きな差が見られなかった。また、この個体は2歳までは同腹子と区別なく成長していたが、2歳を過ぎた辺りから異常行動が顕著になった。新生児期におけるサイトカインへの暴露は、認知機能等の障害を含む脳機能の成長に異常を引き起こすことが示唆された。
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Research Products
(2 results)