2012 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病脳切片標本におけるドパミン神経細胞microRNAの網羅的発現解析
Project/Area Number |
24650222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
内海 計 帝京大学, 医学部, 助教 (90271759)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザーマイクロダイセクション / パーキンソン病 / ドパミン神経細胞 / FFPE / マイクロRNA / マイクロアレイ |
Research Abstract |
マイクロRNA(miRNA)は、発生・分化・増殖など様々な生命現象に関わっており、その発現変化と疾患の関連性が注目されている。本研究では、パーキンソン病の責任細胞であるドパミン神経細胞のmiRNA発現変動をパーキンソン病患者由来の脳ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片標本を用い網羅的に解析し、この疾患とmiRNAの機能連関を解明する。ホルマリンは核酸を剪断化するのでFFPE標本由来の核酸は発現解析研究に不向きとされる。ホルマリンによる核酸分子の剪断化は最小で100塩基程とされるが、miRNA自体は20塩基程の小分子ゆえ剪断化の弊害は僅少と推定される。そこで本年度はこの点の確認も含め本解析法の最適化に向けての条件検討をラットのFFPE切片標本で行った。ラットを4%パラホルムアルデヒドで潅流固定したのち脳を摘出し、パラフィン包埋して4μmの組織切片を作製した。この標本を用い、チロシン水酸化酵素(TH)の免疫組織化学染色にて中脳黒質ドパミン神経細胞を同定した。レーザーマイクロダイセクション法によるTH陽性細胞集団の切り出し後にRNA抽出を行い、その後RT-PCR法にて TH mRNA増幅断片の検出を試みた。その結果、少なくとも120 bp以上のTH mRNA増幅断片の検出に成功した。従って、FFPE標本由来のRNAはmiRNAの網羅的発現解析に充分適用出来るものと考えられる。現在ラットFFPE標本由来のmiRNAサンプルを用いマイクロアレイ解析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はラット由来のFFPE標本を用いて本解析法の最適化に取り組んだ。免疫組織染色によるドパミン細胞の同定、マイクロダイセクションによるドパミン細胞集団の回収とその後のRNA分離の手順は十分に確立された。in-situ hybridization法によるドパミン神経細胞に特異的に発現するmiRNA分子の局在部位の解析法は着手したばかりであるが、本解析法の鍵となる手法なので慎重に実施し確立を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
患者由来の切片標本を使用する本実験にスムーズに移行させるために、まずは動物サンプルを用い入念な準備を重ねる。現在実施しているラットFFPE標本での解析方法を多角的に検証し確立させた後、患者由来サンプルを用いての研究に速やかに着手する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画として、RNA抽出やin-situ hybridization法に使用する各種キットや薬品および抗体等の購入を予定している。また、マイクロアレイ解析を数回実施する予定でその委託解析費用として研究費を使用する。
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