2013 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病脳切片標本におけるドパミン神経細胞microRNAの網羅的発現解析
Project/Area Number |
24650222
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
内海 計 帝京大学, 医学部, 助教 (90271759)
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Keywords | レーザーマイクロダイセク ション / パーキンソン病 / ドパミン神経細胞 / FFPE / マイクロRNA / マイクロアレイ |
Research Abstract |
低分子 non-coding RNAの一種であるmicroRNA(miRNA)は遺伝子発現の新たな制御因子であり、miRNAの発現変化と疾患の関連性が注目されている。本研究ではパーキンソン病の責任細胞であるドパミン神経細胞のmiRNAの発現変動を網羅的に解析し、パーキンソン病とmiRNAの機能連関の解明を目指している。研究材料としてホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)脳病理切片を利用することがこの研究の目標であり最大の特徴である。FFPE標本由来の核酸はホルマリン固定による核酸の剪断化や化学修飾を受けるため核酸解析研究に不向きとされる。しかし、miRNA自体は20塩基程の小分子ゆえ剪断化の弊害は僅少と推定されることから本研究への適用は可能と考えている。そこで患者脳病理切片の使用に先立ち、ラットのFFPE切片標本で解析条件を検討している。昨年度は免疫組織化学的に同定されたドパミン細胞由来のRNAからRT-PCR法にて 低分子のmRNA増幅断片の検出に成功した。そこで本年度からレーザーマイクロダイセクション法にて大量に回収したドパミン神経細胞集団由来のtotal RNAをもとにmiRNAのマイクロアレイ解析に着手した。しかし現在RNA回収量低下およびRNA品質不良等の問題に直面しており、解析の進展に支障を来している。RNA回収量の低下は、マイクロダイセクション用スライドグラスの製品規格変更によるものと考えられる。この量的問題はRNA抽出方法を改良することにより解消された。しかし一方で質的問題が生じ、この方法がRNAの剪断化を助長し著しい品質低下を惹起することが判明した。免疫組織化学染色を施すことによりRNA分子の脆弱性が高まる可能性が考えられるので現在その問題回避に向けて検討を重ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はレーザーマイクロダイセクション法にて大量に回収したドパミン神経細胞集団由来のtotal RNAをもとにmiRNAのマイクロアレイ解析に着手した。しかしRNA品質に関する難しい問題を抱えたため研究の進捗が遅れている。現在問題解決に向けて実験を重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
パーキンソン病の責任細胞であるドパミン神経細胞のmiRNAの発現解析を患者脳のFFPE切片を用いて網羅的に解析することが本研究の挑戦的と言える点である。免疫組織化学染色を施すことによりRNA分子の脆弱性が高まる可能性が考えられるが、他の研究との差別化を図るためにも免疫組織化学的に同定したドパミン細胞でのmiRNAの発現解析にこだわりたい。RNA分子の脆弱性と免疫組織化学染色との関連性を現在詳細に検討している。研究の進捗が遅れているが、この問題点の克服は今後の研究展開に重要な意味を持つのでしっかりと解決していきたい。
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