2012 Fiscal Year Research-status Report
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24650223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 勇一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90378737)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | オプトジェネティクス / カルシウムイメージング / チャネルロドプシン / 共焦点顕微鏡 / 内視鏡 |
Research Abstract |
本研究では脳に直接挿入できる極細内視鏡を用いて、光を用いた脳機能のマッピングを行う。以下に述べる2つの方法について検討を行った。 ①ChR2発現細胞に光刺激を行い、刺激場所特異的な運動を誘発する Thy1-ChR2マウスのVestibular nucleus (VN)にChR2が発現していることが確認できたので、内視鏡による光刺激を行った。その結果、刺激場所により異なる方向の眼球運動が誘導された。ただし同一の内視鏡視野内では運動方向はほぼ一定で、内視鏡の深さに依存して運動方向が変化する傾向が見られた。 ②Ca感受性蛋白質発現細胞の蛍光イメージングによる神経活動の空間マッピングを行う 脳内の様々な領域にCa感受性蛋白質GCaMP7を発現するThy1-GCaMP7マウスを入手し、内視鏡による蛍光観察を行った。海馬CA1および歯状回、大脳皮質、VNのいずれにおいても神経細胞様の蛍光画像が得られたが、画像のSN比が悪く、神経活動と思われる蛍光強度の変動は確認できなかった。そこでまず神経活動の観測が容易な条件で蛍光観察を行うこととした。GCaMP7が最も高発現している海馬CA1領域にbicucullineを投与することにより自発的活動を誘起した。ここに内視鏡を挿入して蛍光イメージングを行うと、数秒間隔で視野全体で同期した蛍光強度の上昇が観察された。さらに、内視鏡周囲に取り付けた電極を用いて電気刺激を行った場合も刺激に同期した蛍光強度上昇が認められた。このことから、GCaMP7と内視鏡の組み合わせにおいて神経活動の検出が可能であることが判明した。しかし、特にVNにおいては蛍光強度が低いため、さらなる蛍光の検出感度の向上が必要と考えられた。そのため次年度は励起光出力を上げる・光学系の最適化・内視鏡の先端形状の最適化といった点を検討し、感覚刺激あるいは運動に伴う神経活動の検出を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定装置については、眼球運動測定装置、視刺激装置ともに作製し既に稼働中である。 実験動物については、ChR2、GCaMPともにトランスジェニックマウスを導入し、本研究に使用可能であることを確認した。ただし、GCaMPに関してはVNにおける蛍光強度がさほど高くなかった。現在のところは、以下に述べる検出系の感度向上により蛍光強度不足を補う予定だが、それでも不十分であればウイルスを用いた発現系等を検討する必要がある。 内視鏡システムは、蛍光観察の感度が不足していることがわかったが、装置の改良により改善が見込めるため、現在検討中である。 全体としては、光刺激実験・蛍光観察実験ともに予備的な結果は得られており、研究課題の実現は可能と考えている。しかし、さらなる実験条件の改善が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
GCaMP7トランスジェニックマウスにおいて蛍光観察のSN比が低い点が問題となっているので、この点を改善してカルシウムイメージングによる神経活動計測を行う。 これまでの検討から、内視鏡の先端形状が蛍光画像の画質に大きな影響を与え、また、脳組織の損傷度合も左右することがわかってきた。そこで、先端形状の最適化をおこなってゆく。また、内視鏡を細くすると組織の損傷が改善されるはずなので、より細い光ファイバーバンドルを試す。また、内視鏡とカメラや励起光源を接続する光学系を変更することにより画像のSN比が改善できる可能性があるのでこれを行う。単純に励起光を強くすることもSN比改善に有効である。これらの改良を行い、生理的な条件での神経活動計測を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り、マウス飼育費、光ファイバーバンドル、分子生物学用試薬および旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)