2012 Fiscal Year Research-status Report
脳機能イメージングと皮質脳波による「無料」のヒト脳内表現の解明
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24650226
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
美馬 達哉 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20324618)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ニューロエコノミクス |
Research Abstract |
本研究計画の初年度では、機能的MRIで、どの脳部位が「無料」による選好逆転と関連しているかを検討した。実験の具体的手順としては、同じカテゴリーだが価格に高低差がある物品ペアをそれぞれの価格とともにスクリーン上に提示し、どちらを購買するかを強制選択させる購買選択課題による機能的MRI実験を被験者10名で行った。3テスラの高磁場MRI(Trio、現有設備)を用い、被験者にShampanierらに準じた購買選択課題を行わせて、BOLD画像を撮像し。MRI画像に対しては、SPMソフトウェアを用いた事象関連解析を行い、無料課題と複数のコントロール課題を比較することで、「無料」による選好逆転と特異的に関連した脳賦活を解明した。その結果、前頭前野における活動が認められたので、より正確な同定に向けて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
機能的MRIによる検討については順調で、予備的解析では興味深い結果が得られている
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Strategy for Future Research Activity |
第一段階として、同じカテゴリーだが価格に高低差がある物品ペアをそれぞれの価格とともにスクリーン上に提示し、どちらを購買するかを強制選択させる購買選択課題による機能的MRI実験を被験者10-20名で行った。このSPMソフトウェアを用いた事象関連解析を継続し、無料課題と複数のコントロール課題を比較することで、「無料」による選好逆転と特異的に関連した脳賦活を解明する。 第二段階では、その脳部位に硬膜下電極を留置した難治性てんかん患者を対象として、購買選択課題を行わせて、その部位の脳活動の時間的経過を解明する(平成25年度)。この方法で、「無料」を選択する情動的意志決定と「無料」物品を得たことによる情動的反応の時間的経過を解明することが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、購買選択課題での機能的MRI実験を継続するとともに、中間的な集団レベルでの統計的解析を行って、「無料」の購買選択に特異的な脳賦活部位を検討する。 可能であれば、外科的治療の術前検査として硬膜下電極を留置したてんかん患者のなかで、「無料」の購買選択に特異的な脳賦活部位の周辺領域に電極が位置している者を選定し、施設の倫理委員会の許可を得た上で、本人のインフォームドコンセントも得て、購買選択課題を行わせ、皮質脳波を記録し、課題ごとに平均加算して事象関連電位として解析する。ミリ秒単位の時間的分解能での解析が可能であり、「無料」を選択する(情動的)意志決定の機構と、「無料」を選択した結果としての情動的反応を、購買選択意志決定の前後として腑分けすることを目指す。
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