2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650243
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
吉川 欣亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庫本 高志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20311409)
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (20508113)
多屋 長治 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 動物実験開発室室長 (90175456)
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Keywords | 遺伝学 / 種差 / 遺伝様式 / マウス / ラット / 白内障 / Mip / CRISPR |
Research Abstract |
Mip (major intrinsic protein of eye lens fiber) 欠損ラットであるKFRS4の白内障発症は厳密に劣性遺伝するが、これまでヒトおよびマウスで報告されているMip変異による白内障発症はすべて優性遺伝し、特に、MIP欠損マウスは、ハプロ不全によりヘテロ個体においても白内障を発症することが知られている。そこで本研究は、それらの報告に基づき、Mip変異に起因する病態の遺伝様式には「種差」が存在することを予想し、新たなMip変異マウスおよびラットを樹立することでこの遺伝現象を検証することを目指して実験を行い、以下の結果を得た。 1) KFRS4同様のMip変異をもつマウス変異体の樹立:研究開始当初からES細胞を介した変異マウス作製を試みていたが、より迅速に変異マウスを作製するため、CRISPR/Cas9を利用したMip変異体の作製を実施した。その結果、ラットKFRS4変異とほぼ同様の欠損型変異体を得ることに成功し、その変異体のヘテロ個体は12週齢で散瞳剤点眼により水晶体混濁が確認され、ハプロ不全によって優性の病態発症を示すことが予想された。 2) ヒトMip優性変異と類似したラット点突然変異体の樹立:ヒトMip優性変異と類似したラット変異を同定するため、ナショナルバイオリソースラットのENUミュータジェネシスライブラリーからの変異スクリーニングを実施した。その結果、コーディング領域内に2種の変異(c.511G>Cおよびc.565T>G)を同定した。これらの変異はMIP蛋白質の171番目のグリシンをアルギニンへ、189番目のフェニルアラニンをバリンへ置換するミスセンス変異であり、ヒトの優性白内障の患者において変異が検出されている部位と近傍に存在していた。そこでこれらのENU変異ラットのヘテロ個体を樹立し、白内障の発症を経時的に観察した結果、その発症は認められず、正常な水晶体構造を示していた。
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