2012 Fiscal Year Research-status Report
小児生体肝移植時に摘出される病態肝組織を用いたヒト病態肝型マウスの作成と病態解明
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24650244
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
田上 昭人 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 部長 (60301800)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヒト肝型マウス / 免疫不全肝障害マウス / 病態モデル |
Research Abstract |
本研究では、国立成育医療研究センターで施行している小児生体肝移植手術の際に得られる摘出肝組織より肝細胞を分離・保存し、これを用いて肝障害免疫不全マウスに移植し、病態肝由来のヒト肝細胞を持つヒト肝型マウスの作成を試みる。 本年度は、ドナー9検体、胆道閉鎖症20検体、肝線維症3検体、糖原病Ib 2検体およびCPS1欠損症、カロリー病、糖原病IIIa、アラジール症候群等より細胞単離を行い合計41検体より、肝組織の保存・肝細胞単離を行った。単離した肝細胞を肝傷害重度免疫不全マウスであるuPA/NOGマウスへ移植し、健常ドナーおよび複数の疾患に由来する肝細胞を用いて、ヒト肝型マウスの作成に成功した。生着したヒト肝細胞は、アルブミン産生などの肝機能を有していた。これにより、代謝性疾患をはじめとする疾患肝由来の肝細胞を用いてもヒト肝型マウスの作成が可能であることが示された。 ヒト肝細胞の生着は、マウス肝内において局所的にコロニー様に散見された。この結果から、本研究では遠心分離により肝実質細胞分画としたものを移植細胞として用いているが、用いた細胞分画内に存在する肝幹(前駆)細胞が生着後増殖し、肝細胞への分化を経て、コロニー様に局在した可能性が考えられる。 一方、同じ疾患でも由来する患者が異なる肝実質細胞分画間で生着性の差異が認められた。この結果が、病態の差異を反映しているか今後の検討が必要である。 本研究により、各種肝疾患由来ヒト肝細胞を用いたヒト肝型マウスの作成の可能性が示された。今後、ヒト肝細胞の由来する疾患の表現型を示すかどうか検討し、疾患モデルマウスとしての有効性を検証することより、疾患の解明や創薬研究に多大な貢献をもたらすことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国立成育医療研究センターで施行している小児生体肝移植手術の際に得られる摘出肝組織より41症例(ドナーを含む)で肝細胞を分離・保存を行い、疾患肝由来肝細胞を用いたヒト肝型マウスの作成にも成功しており、かつ生着様式についての検討も行っており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、移植に用いる肝細胞の由来する各疾患の症例数を追加し、さらに疾患ごとにヒト肝型マウスモデルの作成の成否、疾患モデルとしての有用性を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究経費については試薬消耗品に充当し、翌年度以降に請求する研究費とともに翌年度の研究推進に活用する。
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