2012 Fiscal Year Research-status Report
MRI複素誘電率画像は細胞内水分子のネットワーク構造を反映するか?
Project/Area Number |
24650246
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 徹 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80261361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THA K.K. 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20451445)
堤 香織 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80344505)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MRI / 誘電率 / 高周波電気物性 |
Research Abstract |
Katscher らが提案した方法(IEEE Trans Med Imag, 2009)を基にElectric Properties Tomography技術を導入する目的で、まず、MRIの受信信号に含まれる位相情報の詳細解析を行った。その結果、被検体の電気伝導度(σ)や誘電率(ε)などの電気的性質に従い、MRI撮像時に誘起される高周波渦電流によるMRI受信信号に発生する位相が、撮像時に用いる高周波電力に依存しないという重要な性質を発見した。その性質を応用し、MRI検査時に懸念される高周波熱傷を予測する理論を構築した。その理論構築の際、MRIの高周波磁界は静磁場に垂直であるという性質を用いたことが鍵である。さらに、その理論を実証するために、MRI撮像時の高周波により高温に発熱する部位を人工的に発生させる被検体(ファントム)モデルを確立し、MRIの高周波熱傷部位の予測が可能であることを示した。このことで、被検体のσやεなどの電気的性質が現れるMRI受信信号の位相情報についての理解が深まったが、生体中の電磁界の挙動を応用するこの分野は、用いる電磁波の周波数の増加を伴うMRIの高磁場化の進展とともに急速に発展しており、Katscherらの方法の問題も指摘されつつあったので、初めて開催されたこの分野の最先端研究者が集まる国際ワークショップ(MR Safety, Lund, Sweden, 2012.9)に参加し、MRIの高周波熱傷予測技術の発表を行うとともに、討議を行い最新の情報を取得した。その結果、ファントムとは異なりσ、εが複雑に分布する人体では、MRIの受信信号の位相のさらなる詳細解析が必要で、MRI専用の高周波電磁界解析システム(SEMCAD)の導入が有用であるとの情報がえられ、現在、SEMCADの導入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被検体のε、σを画像化するElectric Properties Tomography技術を導入し、ファントム実験でその画像化の誤差を±5%とすることを目的としたが、当初予定していた導入技術の問題点が学会などで指摘されたために、その指摘事項の解決から着手した。現在、その解決のための設備導入を行っており、当初の誤差目標値(±5%)を達成し遅れを取り戻すことは可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度のε、σの画像化は今年度中期に達成できる目途がある。そのために導入するMRI専用の高周波電磁界解析システム(SEMCAD)は、既存の設備で稼働するソフトウエアーであり、大学などの研究機関での使用の際、それを用いた研究成果を導入後1年以内に査読のある専門誌で公表すれば無償であるので、予定する研究費に変更はない。また、今年度計画しているin vitro実験については、その準備は、ε、σの画像化と独立に進められるので、当初の計画どおり遂行することが可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(6 results)